――若手実力派の皆さんで演技合戦、という面もあったと思いますが、いかがでしたか?

みんながみんな個性的で、お芝居も色があって、意外と僕の役は普通の少年だったので、「普通に見える少年も、自殺の決意に至るんだ」というところを体現したいと、演じていました。それが、誰かの刺激になればいいなと思いつつ。

元から知っている人たちのすごさも肌で感じたんですが、僕は萩原利久くんがすごかったな、と思いました。飄々として明るくて能天気でふんわりした空気の利久が、タカヒロを違和感なく演じていましたし、台本読みの段階で完成していたんです。「すごい子だな」と思い、感動しました。

――全員にスポットが当たっていますし、本当にそれぞれ刺激を受けそうな現場ですよね。

結局お芝居も、誰か一人が突き進んでいくのでは面白くならないと思うんです。ちっちゃくて些細なお芝居の積み重ねで良い作品ができるのかな、とも思います。今回の『十二人の死にたい子どもたち』は本当に13人、さらに堤監督を入れた14人が同じ歩幅で進んでいった感覚があって、すごく心地良い時間だったし、完成した作品を観たときに純粋に面白くて、関われて良かったな、と思いました。

■あんなにフラットな女性はいない

――今回は、取材した方に他の方の印象を聞いておりまして、黒島さんから見た北村さんは「大人子どもな人」だそうです。

黒島さんとは、現場ですごく話したわけではないんですけど、同じ空気感があったように思いました。僕は環奈ちゃんやまっけんと共演経験があり、花ちゃんとは久しぶりに会ったので、結構喋っていました。そこに、物静かに輪の中にいる黒島さんがいて、人を観察しているんだろうな、と思います。

――北村さんの写真が好きだともおっしゃってました。

本当ですか! 黒島さんも写真を勉強されているんですよね。率直に嬉しいです。

――くじで引いた方へのメッセージをお願いしているので、あと2枚なんですが、北村さんもぜひ1枚引いていただければ。

お、4番の環奈ちゃん。「華がある人」って、こういう人なんだろうなと思います。自然と人が集まってくるし、どこかで「もっと見たい」と思わせる。だからこの映画における4番という立ち位置に、絶大な効果があると思いました。

――セリフでも、ノブオが「本当にかわいいね」と言ってましたよね。

ありましたね(笑)。僕は、映画『セーラー服と機関銃 -卒業-』で共演したんですが、環奈ちゃんは人と接するときに「そんなフラットに来る!?」くらいの絶妙な距離感で、すごくサバサバとしたところがある。僕は、よく中身がおじいちゃんと言われるくらいなので、気が合いました。昔同じイベントに出ていたこともありましたし、もちろん、僕には想像できない時間もあるかもしれないですけど、あんなにフラットな女性はなかなかいないと思います。

■北村匠海
1997年生まれ、東京都出身。2008年、『DIVE!!』で映画初出演。2013年にはダンスロックバンド・DISH//のメンバー(Vo.&G)としてメジャーデビュー。音楽・映像それぞれのフィールドで活躍する。初主演作『君の膵臓をたべたい』(17)では、第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な作品に『セーラー服と機関銃 –卒業–』(16)、『あやしい彼女』(16)、『ディストラクション・ベイビーズ』(16)、『恋と嘘』(17)、『勝手にふるえてろ』(17)など。

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