――剣崎がブレイドに変身する際、「変身!」と言いながら素早くポーズを取りますが、あの変身シークエンスの一連はどのようにして決まったのでしょうか。

変身ポーズ自体はアクション監督の宮崎(剛)さんがある程度決めてくださった型があって、それを高岩(成二/仮面ライダーブレイドのスーツアクションを担当)さんと共に、細かい部分を相談しながら固めていったものです。変身のかけ声は「へんしんっ!」と溜めずに、「ヘンシン!」と出来るだけ素早く叫んでいますよね。あれは、変身する状況がいつもアンデッドとの戦いで自分の身が危ないときですから、できるだけ早く変身しなければならない、という思いでああいう風になってしまうんです。

――撮影当時の現場の雰囲気はどんなものだったのですか。共演者の方たちと椿さんとのふだんのやりとりなどを教えてください。

現場の雰囲気は、放送された作品とほぼ変わらないって印象ですね。もともと『剣』という作品が、年齢の近い仲間たちが部屋でメシを食っている、みたいなシチュエーションが多かったですから。僕にとっては、スタッフやキャストと一緒に撮影をしている延長上に日常生活があったという感覚です。役柄と実際が大きく違うのは、やっぱり亮治でしょうね。始はクールにキメているんですけれど、ふだんの亮治は関西弁でしゃべる面白い奴ですから。第29、30話に始とそっくりな三上了(演:森本亮治2役)が出てきますけれど、あっちのほうが素の亮治に近いんです(笑)。

天野くんは、一言でいうと「不思議な人」です。オーディションのとき同じ場にいたんですけれど、何かの質問に答えようとして、いつの間にか「月」の説明を一生懸命している天野くんがいたんです。いったい、どんな質問から月の話に飛んでいってしまったんだろう?なんて。そんな不思議な部分が天野くんの魅力なんだと思います。

北条は当時ギリギリ高校生だったのかな。彼がいちばん、僕の家に泊まりに来ることが多かったんですよ。人懐っこい性格で、それは今でも変わっていませんね。白井虎太郎役の輝くん(竹財輝之助)はワイワイ騒いでいる仲間たちを客観的に見ることができる人で、1人だけ"大人"だなって印象がありました。

――『仮面ライダー剣』をふりかえって、いちばん心に残る場面をひとつ挙げるとしたら、どんなところになりますか?

ひとつには絞り切れないのですが、あえて挙げるならば、最終回でエンドクレジットが流れ、橘さんが仲間たちとの写真を見ながら、姿を消した剣崎のことを回想する……という場面が切なくて好きですね。あそこで使われている写真って、僕がふざけて広瀬(栞)さん(演:江川有未)の頭の上で手を広げていているんですよ。まさか、あんなに切ないシーンで使われるとは思っていなかったので、驚きました。

――『仮面ライダー剣』放送から15年という歳月が過ぎましたが、当時ブレイドのファンだった子どもたちが大人に成長し、椿さんに「昔観ていました」なんて話されることがあったりしますか?

ある舞台で共演した方から、そういう人がいるよと教えてもらったことがありますが、直接その人と話したりはしなかったんです。僕自身が、役で絡みのない人とコミュニケーションをとることがないもので……。一方、トークイベントなどでは15年前から観ていてくださっている方や、『仮面ライダージオウ』の影響からか歴代平成仮面ライダーに興味を抱いて『剣』を観てくれた若い方たちとお会いすることが多くなりました。みなさんからは「仮面ライダー剣15周年記念として、ぜひ映像作品に出演してください」なんて要望をいただくことがあります。僕はそんな言葉に、ファンの方たちの強い"愛"を感じました。これからも『仮面ライダー剣』という作品と、剣崎一真を愛してくださると嬉しいです