日本マイクロソフトは1月22日、 IoTの最新動向や事例を紹介し、ビジネス変革に役立ててもらうことを目的とした自社イベント「IoT in Action」を東京・有明で開催した。このイベントは世界9カ国で開催。すでにニューヨークや韓国でも開催されている。東京で開催されるのは、今回で2回目となる。

  • 基調講演における日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏

基調講演では、日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏が登壇。同氏は、「クラウドやインターネットを通して、日々、インテリジェント化が進んでいる。マイクロソフトは、モダンワークプレイス、ビジネスアプリケーション、アプリケーション&インフラストラクチャー、データ&AIという4つのソリューションを通して、『社員にパワーを(働き方改革)』、『お客様とつながる(密な関係を構築)』、『業務最適化(オペレーションの効率化)』、『製品を改革(新しい製品やサービス、ビジネスモデルを創っていく)』という4つの目的を達成しようとしている。社会変革のためには、イノベーションの連鎖が必要だ。そのためのコンセプトが『Tech Intensity(技術の強さ)』だ。Tech Intensityをやっていくためには、最新のテクノロジーをいかに早く取り込むか、それを使って組織内にどのように独自でユニークなテクノロジーをはぐくんでいくかが重要だ。そのためには、経営者がテクノロジーがいかに重要なものであるかという考え方、判断、文化も必要になってくる。それによって、他社との差別化が図れる」と、技術変革の激しい時代おける、経営者の意識改革の重要性を訴えた。

  • 平野氏は社会変革のためには、イノベーションの連鎖が必要だと語った

平野氏は、同社が注力している技術領域として「MR」「IoT」「AI」の3つを挙げ、IoTに対して4年間で50億ドル(約5300億円)を投資するという、昨年4月の発表内容を紹介。これらを研究開発(R&D)、製品・サービスの開発、体制の強化(リソース)、エコシステムの強化に当てるとした。

  • 平野氏は同社が注目している技術領域として「MR」「IoT」「AI」の3つを挙げた

そして、「インテリジェント化においては、多くのデータが生成される。それをいかに有効活用していくがか、今回のカンファレンスのテーマだ」と、IoTにおいては、データ活用が最大のデーマである点を強調した。

続いて登壇したのは日本マイクロソフト 業務執行役員 IoTデバイス本部長 菖蒲谷雄氏。 同氏は、同社が提供しているIoTのポートフォリオを紹介し、IoTにおいてはエッジとクラウドでプラットフォーム、セキュリティ、ID、管理の部分で一貫性をもった制御ができるかという点と、センサー、ゲートウェイ、サーバなどのさまざまなエッジデバイスを包括的に扱えるかどうかが重要だとした。そして、エッジデバイスにおいては、これまでさまざまなデバイスを提供してきたマイクロソフトに強みがあるとした。

  • 日本マイクロソフト 業務執行役員 IoTデバイス本部長 菖蒲谷雄氏

  • マイクロソフトが提供しているIoTのポートフォリオ

「IoTビジネス共創ラボ」が3周年

マイクロソフトがAzureをベースとしたIoTソリューションの開発促進を目指して、3年前に設立したのが「IoTビジネス共創ラボ」だ。東京エレクトロンデバイスが幹事会社となり、日本マイクロソフトが事務局を努めている。3年前は13社で100社を目標にスタートしたが、今年の1月17日現在では、556社のメンバーがいるという。

  • 「IoTビジネス共創ラボ」のメンバー数の推移

発足当初はビジネス、分析、製造。物流社会、ヘルスケアの5つのワーキンググループでスタートしたが、現在は、Pepper、ドローン、XRの3つがこれらに追加されているという。

地域版IoTビジネス共創ラボの展開も進んでおり、ふくしま、北海道、中部、かさわき、柏の葉、石川・金沢、みやぎの7つが立ち上がっている。

イベントでは、ラボの成果として、共創ラボ起点のいくつかの事例が紹介された。

送電線の管理を行う東京電力パワーグリッドでは、ヘリやドローンで撮影した送電線設備の画像からAIによる分析で異常/正常を判断し、自動的に報告書を作成するシステムをテクノスデータサイエンス・エンジニアリングの協力のもとに開発しているほか、エムティーアイは、創薬における研究者間の情報共有において、タンパク質解析システムとの連携をHoloLenzによるMRで実現している。

また、立教大学では、同じくHoloLenzを活用し、授業において3D分子構造情報の共有を行っているという。

  • 東京電力パワーグリッドの事例

  • エムティーアイの事例

そのほか、最新事例としては、1月18日に発表された、北菱電興が開発した石川県加賀市での除雪車の運行管理も共創ラボ起点の事例だという。

  • 石川県加賀市での除雪車の運行管理の事例