ヤマハ発動機は1月11日、バックアップピンやメタルマスクの交換などの段取り替えを全自動化することができるハイエンドカテゴリのクリームはんだ向けプレミアム印刷機「YSP10」を開発、2019年5月1日より発売を開始することを発表した。

同製品は、1枚のステージでアタック角度・速度・印加印刷力を制御する独自技術による印刷ヘッド「3Sヘッド(Swing Single Squeegee)」やマスク吸着機能を標準で搭載するYSPシリーズの最新製品として、新たに設計開発されたクリームはんだ印刷機。段取り替えの全自動化対応として、バックアップピンの自動交換機能やマスク自動交換機能、はんだ自動移載機能をオプションとして用意(プリセットには作業員が必要)。現場の省人化や段取り時間の短縮、人的ミスの削減などを図ることができるようになると同社では説明している。

バックアップピンの自動交換機能は、マグネットを活用したフリーロケーションタイプのピンを活用することで、プリント基板の形状やパターン、下面実装状態などに応じて、任意の位置への配置を設定しておくだけで、機械が自動でピンを立ててくれるというもの。2本の吸着ヘッドによるピンの同時吸着・装着を可能としたことで、人手による作業に比べて作業時間の短縮も可能になるという。

また、マスク自動交換機能は、次の生産に必要なメタルマスクを印刷機が稼動している最中にプリセットしておくことで、段取り変え作業を印刷機が自動で行ってくれるというもの。メタルマスク上にはんだペーストを広げていく際に使用する金属製のへらであるスキージにも、併せて新たにはんだ受けプレートを装備。これにより、マスク交換時におけるはんだのマスクへの落下を防ぐことを可能にしたとする。

さらにはんだ自動移載機能により、マスクを交換する際に、前に使用していたマスクの上に残ったはんだを自動で無駄なくすくい上げ、新たに交換されたマスク上に速やかに移戴できるようになるため、廃棄されるはんだの量を削減できるほか、立ち上げ時に必要なはんだローリング作業を省くことも可能となるという。

加えて、駆動系の見直しなどによる基板搬送時間の削減や動的レイアウトの最適化により、マスククリーニング込みのサイクルタイムを従来比20%向上となる12秒(通常印刷は10秒)を実現したほか、対象基板サイズも従来の510mm×460mmから510mm×510mmへと拡張。オプションを活用すれば610mm×510mmの大型基板まで対応可能になるという。

なお、同社では同装置を活用することで、「今までは段取り担当者が必要だったが、これを活用することでライン要員が対応することが可能となるなど、トータルでの省人化を図ることができるようになる」と説明しており、段取りが多かったり、低不良率が必要とされる産業分野などを中心に発売から1年間で50台の販売を目指すとしている。

  • YSP10

    ヤマハ発動機のハイエンドクリームはんだ印刷機「YSP10」