アニソンシンガー・亜咲花にとって、2018年は飛躍の年となった。スマッシュヒットを記録したTVアニメ『ゆるキャン△』のOPテーマをはじめ、“Animelo Summer Live(※以下:アニサマ)”への出演に二度のワンマンライブなど、活躍の場を一気に広げた1年を経て、2019年の幕開けとともに彼女が発表するのがミニアルバム『19BOX』。

  • 亜咲花(あさか)。1999年10月7日生まれ。愛知県出身。T&E Corporation所属。2016年10月に17歳の高校生アニソンシンガーとしてTVアニメ『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』EDテーマ「Open your eyes」でデビュー。TVアニメ『ゆるキャン△』OPテーマ「SHINY DAYS」やTVアニメ『ISLAND』EDテーマ「Eternal Star」を担当している。撮影:Wataru Nishida(WATAROCK)

    亜咲花(あさか)。1999年10月7日生まれ。愛知県出身。T&E Corporation所属。2016年10月に17歳の高校生アニソンシンガーとしてTVアニメ『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』EDテーマ「Open your eyes」でデビュー。TVアニメ『ゆるキャン△』OPテーマ「SHINY DAYS」やTVアニメ『ISLAND』EDテーマ「Eternal Star」を担当している
    撮影:Wataru Nishida(WATAROCK)

“ジュークボックス”になぞらえたタイトルどおり、1曲たりともジャンルの重複しない充実の一作に仕上がった。今回は作詞も担当したリード曲や田代智一・佐藤純一(fhána)からそれぞれ提供を受けた新録曲の話題を中心に、その製作の裏側に迫る。

■リスナーさんがお好きな曲をセレクトするような1枚になれば

――2018年はついにアニサマにも出演されました。ステージからの光景はいかがでした?

ひとことで言うと、もうペンライトの海でした! なのに、お客さんの顔が一人ひとり鮮明に見えて。私のグッズを持ってる人とかもわかって……「あこがれの歌手の方って、ステージからこういう景色を見てたんだ!」って思いましたし、アーティストのみなさんと同じステージに立てたっていうのはすごく光栄で、いまだに忘れられないですね。去年までは「上がってこいよ!」って言われる側だったんですけど、今は「次は私が、みんなに夢を与える番なのかな?」って思ってます。

――そのほか、秋にはバースデーライブも開催されました。こちらも満員中の満員でしたね。

おかげさまで、もうパンパンで。3月の1stワンマンの会場は渋谷WWWだったんですけど、今回は渋谷duo MUSIC EXCHANGEということで、ワンマンをやらせていただくたびにどんどん会場が大きくなって。しかもそれが満員・ソールドアウトということで……なので、次はまた大きな会場でソールドアウトさせなきゃいけないっていうプレッシャーもあるんですけど、それを自分の背中を押していくひとつのポジティブな要因として、3月のツアーも満員にしたいです。

――そのツアー前にリリースされるのが、ミニアルバム『19BOX』です。まず、どんなコンセプトを目指されたかからお教えいただけますか?

今回は最初にタイトルを決めて、そこから内容を決めました。19歳でミニアルバムを出す記念としてタイトルの中に数字を入れたいなと思っていたところ、ディレクターが「『19BOX』、どう?」って言ってくれたんですよ。でも私、そもそもジュークボックスっていうものがわからなくて……(笑)。それで調べたら、昔お金を払って自分が好きなレコードを選んで曲をかけるっていう機械があったと知りまして。

そういうジュークボックスのように、リスナーさんがいろんな曲の中から好きな亜咲花の曲をセレクトできるように、幅広い楽曲を揃えたCDにしたら面白いんじゃないかな、ということになったんです。なのでダンスナンバーからバラード、ロックにラブソングにと、7曲ともまったく違うジャンルの楽曲が詰まった1枚になりました。

■リード曲は、ずっと歌いたかったジャズ・ロック

――新録曲の方向性についても、亜咲花さんから提案されたんでしょうか?

はい。私から全部提案をさせていただきました。なかでもリード曲の「KILL ME One More Time?」は、私がずっと歌いたいと思っていたジャズ・ロックになっているんです。アニソンって作品があってこそのものなので、今までは歌う機会がなかったんですよ。でも今回はシングルじゃ出せない亜咲花のカラーを出したかったので、ここでちょっとオトナな、背伸びしたというよりも自分と正反対の楽曲に、歌詞で命を吹き込んでみるのも面白いのかなって思ったんです。それで自分の等身大とうまく対比できるよう、テーマをあんまりいい恋愛にたどり着けてないような弄ばれてる女性に設定しました。

――そのテーマの似合う、本当にかっこいいジャズ・ロックになっていますね。

そうですね。最初に10曲ぐらい聴かせてもらって、その中から選びました。実は元々「ジャズ・ロックを歌うときには絶対自分が作詞をして、ちょっとドロっとした恋愛の歌を書こう」って決めていたので、逆に「どれがいちばんドロッとした恋愛が似合うかな?」っていうところから考えて、いちばんピンときたこの曲を選んだんですよ。

――歌声からもオトナさやセクシーさが強く感じられましたが、歌う際に気をつけられたのはどんなことでしたか?

今回は曲の主人公の女性の本心をあえて英語で書くようにしたので、特にその英語の部分では言葉の置き方やブレスの使い方をより意識しました。ただ、自分の思い描いていたこだわりが強かった分、最初はその理想と現実とのギャップもありまして。それで何回も録り直した部分もあったんですけど、最終的にはやりたいことも全部回収できたし、ライブ映えも絶対する曲になったと思います。だからライブではセクシーに魅せられるように、見せ方も考えていこうかなって思いますね。

――そしてこの曲では、MVも撮影されました。

今回は男女ふたりの恋愛の模様を観ながら、私が80年代風のライブハウスのステージで歌っているというものになっていまして。映画っぽくワンカットで長回ししていたりと、今までの中でいちばんストーリーが目に見えてわかりやすいものになっていると思います。それに今回は初めてバンドメンバーも加えて撮影したので、ロックにもなってますし……本当に、“初めて”が多かったですね。でも「去年まで制服着てたのに、この1年で亜咲花どうしたんだ!?」って皆さんビックリするんじゃないかな?(笑)。

――全体的にかっこいいうえに、後奏の去り際の表情もすごくオトナで。

あはは!(笑)。でも今回はタイアップもないからより純粋に歌とMVを単独で楽しんでいただけると思うので、「この曲が、亜咲花の入り口になった!」っていう方がすごく増えるといいなと思ってます。