世帯収入は「教育費」にどのような影響を与えるのでしょうか? ここでは平成29年の総務省の家計調査から、子育て世代の専業主婦世帯と共働き世帯の可処分所得(手取り収入)と、消費支出の内訳を比較。お金の使い方にどう違いが出るのか注目してみました

◆専業主婦世帯と共働き世帯の家計の違いは?
働き方改革や女性の社会進出が唱えられる昨今でも、専業主婦を希望する女性は意外と多いものですが、子育て世代の専業主婦世帯と共働き世帯では家計における支出にどのような違いがあるのか? さらに実際の世帯就業の現状をお伝えします。

◆子育て世代の可処分所得と、共働き世帯と専業主婦世帯の消費支出内訳の比較
総務省「平成29年家計調査」から、子育て世代の可処分所得(手取り収入)と、共働き世帯と専業主婦世帯の消費行動の違いが見えてきました。

◇月平均の可処分所得(手取り) 
共働き世帯……497,037円
専業主婦世帯……404,644円
<参照:総務省「平成29年家計調査」>

◇子育て世代の共働き世帯と専業主婦世帯の消費支出内訳の比較
子育て世代の共働き世帯と専業主婦世帯の消費支出内訳は図の通りです。
子育て世代の共働き世帯と専業主婦世帯の消費内訳(月平均)<参照:総務省「平成29年家計調査」>

◇子どもの教育費に大きな差が!
この結果、気になる項目が「教育費」です。食費や光熱費、被服及び履物等は共働きでも専業主婦でも大きな差は感じられませんが、教育と教育関連費に関しては大きく差が開きました。教育・教育関連費を合計すると、26,563円の支出の差があります。ひと月の塾の費用くらいの金額でしょうか。これを見る限り、専業主婦世帯より共働き世帯の方が、教育にお金を掛けていることがわかります。子どもの塾代や学費のために、専業主婦をしていた妻が社会復帰をして共働き世帯になる家庭は少なくありません。世帯収入が教育格差の一因とするひとつの結果と言えるでしょう。

*「教育関係費」は教育のほか、学校給食、男子用学校制服、女子用学校制服、鉄道通学定期代、バス通学定期代、書斎・学習用机・椅子、「他の文房具」を除く文房具、通学用かばん及び国内遊学仕送り金を合計したもの

他にも交通・通信に大きな差が見られますが、共働きが故に自動車や携帯電話の保有割合が多くなることからの支出増と言えるでしょう。

◆世帯就業の現状、専業主婦世帯と共働き世帯の割合の変化
専業主婦世帯と共働き世帯の割合はどのように変化しているのでしょうか。

専業主婦世帯と共働き世帯の推移<資料出所:厚生労働省「厚生労働白書」、内閣府「男女共同参画白書」、総務省「労働力調査特別調査」、総務省「労働力調査(詳細集計)」>※「専業主婦世帯」は、夫が非農林業雇用者で妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者)の世帯。「共働き世帯」は、夫婦ともに非農林業雇用者の世帯。なお2011年は岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果
1980年代は、専業主婦世帯と共働き世帯の比率は2:1で、子どもが学校から帰ると「おかえり!」と母親が待っている家庭の方が多く、共働き世帯の子どもは「鍵っ子」などと呼ばれました。しかし、1990代、バブル崩壊をきっかけに専業主婦世帯と、共働き世帯の比率は1:1となり、2017年には1:2と共働き世帯が圧倒的に増え、「専業主婦は贅沢な職業」などと揶揄されるようになりました。教育費・住宅ローン・老後資金といった人生の三大資金を賄うためには共働きは必須ということでしょう。

子育て中の親にとって、子どもにどのような教育を与えるのか? そして教育費にいくらかけるのか?というのはとても大きなテーマです。「子育てをしっかりしたいから専業主婦でいる」という選択は尊重されるべきですが、その先に教育費をねん出できないという現実が待っているとしたら、それは親としてとても辛いことかもしれません。

文=二宮 清子(マネーガイド)