2019年がスタートしました。今年は1月4日または1月7日から多くの人が仕事始めを迎えます。気持ちを新たに仕事の成功を願った人も少なくないはず。しかし、いざ正月休みが明けた出社直後には、「やる気が出ない」「身体が重い」など、いわゆる「正月病」になる人もいることでしょう。そこで今回、年間500本以上の映画を鑑賞し、数々の映画イベントで司会を務める映画パーソナリティの伊藤さとりさんに、心がきっと熱くなる「仕事へのモチベーションがアップする映画」を10本厳選してもらったのでご紹介しよう。

  • 映画パーソナリティの伊藤さとりさん(写真:マイナビニュース)

    映画パーソナリティの伊藤さとりさん

モチベーションアップの映画10選

『バーフバリ 伝説誕生』(2015年)&『バーフバリ 王の凱旋』(2017年)

やる気が飛び起きてしまう映画といえば一昨年から昨年にかけ、ロングラン応援上映となった古代王国マヒシュマティを舞台に2代に渡る王座争いを描いた『バーフバリ 伝説誕生』と『バーフバリ 王の凱旋』のインド映画2部作。戦車やゾウなど地響きさえ感じてしまうような目を見張るアクションが魅力で、太鼓の音と讃える歌、そして煌びやかな衣装によるダンスは圧巻だ。

男女問わずハマる人が続出する理由は、スケール感のある戦闘シーンはもちろん、男の嫉妬、裏切り、因果応報という時代劇あるあるがふんだんに盛り込まれていること。そこにさらに王であるバーフバリと王女の恋や三角関係が綴られていて、声を出して応援したくなる躍動感ある演出とストーリーだからこそ。「バーフバリ、ジャイホー!」と拳を上に突き上げたくなる、やる気スイッチがマックスになるお祭り映画は、中毒性があるので摂取し過ぎには注意。

『素晴らしき哉、人生!』(1946年)

世界中に愛されている不朽の名作であり、何度もテレビ放映され、ウィル・スミス主演でリメイクもされたアメリカ映画。誰の人生でも、間違いなく素晴らしく、人は人を助けるために生きていると教えてくれる愛の物語である。

人生に絶望を感じ、橋から飛び降りようとしていたジョージの前に現れた羽の生えていない天使により、ジョージは自分が存在しなかった人生を見ることになる。モノクロ映画だけれど、優しさ、悲しみ、とまどい、切なさ、怒り、喜び、喪失、希望という人間の感情の全てが綴られていて、それこそがドラマチックだと教えてくれるファンタジー。

この映画を観ると、人は人によって活かされていて、善き行いをすれば必ずや誰かが見ていて、幸せが返ってくるんだと思えるはず。携帯もない時代に作られた映画だからこそ、人とのつながりの大切さを実感し、誰かを助けるってカッコイイ! 世のため人のために頑張りたくなるパワーをくれる作品だ。

『ライトスタッフ』(1983年)

任務の重圧に耐え、頑張る力を与えてくれる7人の宇宙飛行士の姿を綴ったアカデミー賞4部門受賞作。宇宙飛行士の映画は数あれど、この作品は宇宙開発初期のアメリカが舞台で、まだ人が宇宙へ行ったことがない時代にNASAを設立し、人類の最初の希望と夢を背負った男たちの生き様に焦点を当てている。

このタイトル『ライトスタッフ』の意味は、「己にしかない資質」。実は宇宙が舞台のSF映画というよりも、宇宙飛行士に選ばれた者、選ばれなかった者の運命を描くことで、「自分の能力を最大限に活かすことの重要性」を描いているのがこの映画のポイントだ。

人それぞれ得意不得意があり、たとえ夢破れても、自分に適した任務に就くことで歴史を塗り替えるほどの偉業を成し遂げたり、人の役に立ったりできるということを教えてくれる。自分の得意分野を知ることこそ成功のカギなのかもしれない。

『ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢』(2008年)

世界的なブロードウェイミュージカル「コーラスライン」のオーディション風景を捉えた傑作ドキュメンタリー。17人しか立てない舞台に、世界各国から3,000人のダンサーが集まり、8カ月間に渡る壮絶なオーディションが繰り広げられるが、そのすべてがドラマチックだ。

有名無名も肌の色も関係がないオーディションでは、演技力、技術力、表現力、ハートの強さ、すべてがそろっていないと通用しない。そんな世界の中で、親友と役を争うことになるダンサーがいたり、情熱があるからこそ嫉妬も当たり前の状況下で誰もが口にしたりする「これは私の物語」、「このステージにかけてきた」。

自信はあるが、ライバルが多すぎて自信を失いそうな中、どうやって彼らは夢を叶えようとするのか見届けた後に、自分の生き方を見直したくなる映画。一生懸命、がむしゃらなほど人は美しいと教えられるはず。

『陽はまた昇る』(2002年)

西田敏行、渡辺謙共演の実話をベースにした、DVDの前に作られていたVHS(ビデオ・ホーム・システム)開発を担った男の物語。高度経済成長の日本は、当時まだカラーテレビが出てきたばかりで、「次はビデオ」と言われていた時代。定年間近の開発技師の主人公が、赤字続きのビデオ事業部へ異動となる。彼に課せられたミッションは、リストラという残酷なものだったが、ホームビデオへの開発にチャレンジし、社員全員を救おうと奮闘する。

この映画の面白いところは、日本ビクター、松下電器、ソニーなど、会社名がそのまま使用され、経営の神様と言われる松下幸之助を仲代達矢が熱演。名言もふんだんに登場し、まさに仕事に役立つ日本映画の代名詞的作品といえるだろう。「こんな上司になりたい、こんな上司がいたらいい」と思わせてくれる人情味あふれる西田敏行演じる事業部長は、部下を伸ばすリーダーのお手本だ。

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