マイナビニュースの連載「鉄道ニュース週報」では、毎週1本ずつ気になる話題を選んでいる。今回は1年の締めくくりとして、2018年の人気記事と筆者が選ぶ重要な話題をピックアップした。廃線観光、蒸気機関車、被災路線の復旧への法整備など、将来に影響する話題も多い年だった。

■人気記事と重要度は違う?

2018年は第103回「流麗なスラントノーズ、国鉄キハ183系保存プロジェクトが発足」から第153回「『敦賀港線』敦賀~敦賀港間の廃止決定、跡地の活用法は」まで、計51記事をお届けした。この中で読者にとって関心の高い記事はどれだったか。編集部に問い合わせたところ、アクセスランキングは以下の通りだったという。

「鉄道ニュース週報」では、本誌ニュースでも紹介している新型車両やダイヤ改正といった話題との重複を極力避け、一般紙誌等で報じられた事柄を中心に選んできた。なるべく前向きな事柄を選んだこともあり、新しい鉄道への期待を象徴する記事が話題になったようだ。

上位記事10本のうち、新線開通関連が3本、新型車両関連が2本。えちぜん鉄道の新線切替(第107回)と、大宮駅始発新幹線の今後の展開(第116回)を含めると、7本が前向きな話といえる。一方、路線廃止や車両引退に関する記事も4本ある。合わせて11本になってしまうけれども、これは第121回で新型車両E261系と、引退が見込まれる車両251系の両方を扱っているため。路線廃止・車両引退の話題は前出の7本と対照的だけど、どちらも「今後起きること」である点は共通している。全体的に未来志向の事柄に関心が高い。

■筆者が選ぶ5大ニュースは

2018年に掲載した記事51本の中で、筆者自身がとくに重要だと思った回を挙げると、以下の5本となる。

鉄道軌道整備法の一部改正案が成立へ - 救われる路線は? (第124回)

2018年で最も重大なニュースはこれだったと思う。鉄道軌道整備法の目的は「鉄道事業に対する特別の助成措置を講じて鉄道の整備を図ることにより、産業の発達及び民生の安定に寄与すること(第1条)」だ。鉄道事業や軌道事業に対して国の助成を行う根拠を定めている。

このうち、大規模災害路線に対する助成対象について、改正前は鉄道事業者が赤字であることが前提となっていた。そのため、黒字鉄道事業者の赤字路線が被災した場合、鉄道事業者は費用を負担してまで路線を復旧しようとしなくなる。運行赤字は許容できても、多額の復旧費用は投資にならず、株主の承認も得られないからだ。

  • 盛駅付近を走行する大船渡線BRT。後方に三陸鉄道の車両が見える(写真:マイナビニュース)

    盛駅付近を走行する大船渡線BRT。後方に三陸鉄道の車両が見える

わかりやすい事例として、東日本大震災で被災した三陸鉄道とJR東日本の沿岸路線がある。三陸鉄道は赤字だったため、国の助成を得られた。しかしJR東日本は黒字の鉄道事業者であるため、気仙沼線・大船渡線・山田線沿岸区間の復旧費用は国の助成対象外となった。その結果、気仙沼線や大船渡線は低コストで復旧、運行できるBRT化された。

鉄道軌道整備法の改正によって、一定の条件はあるとはいえ、大手私鉄やJR各社など黒字の鉄道事業者も国の助成で災害路線を復旧できるようになった。直近では、只見線(JR東日本)や日田彦山線(JR九州)などの復旧の後押しになることだろう。今後は大規模災害で被災したことだけを理由に路線廃止になる事例は少なくなると思われる。

東武鉄道、2台目のC11形を獲得 - 譲渡価格は「約400万円」(第147回)

産業遺産であり、観光目的にもなる蒸気機関車。毎年恒例となった大井川鐵道「きかんしゃトーマス号」をはじめ、鉄道ファンならずとも老若男女に親しまれる存在だ。2017年は東武鉄道「SL大樹」の運行開始が話題になった。

今年も蒸気機関車の話題が多かったけれども、真岡鐵道で赤字のため1台を放出するとの報道や、野辺山SLランド閉園、秩父鉄道の長期故障(2019年1月復旧)など残念な話題もあった。また、西日本を中心に大規模な豪雨災害が起きたときは、「SLやまぐち号」の蒸気機関車が広島県内に取り残され、長期運休となる事態に。2018年は蒸気機関車受難の年ともいえそうだ。

  • 東武鉄道が動態保存を目的とした蒸気機関車C11形の復元に着手

その中でも特筆すべきは、東武鉄道が2台目となる蒸気機関車を購入したことだろう。故障しがちな現有機の整備期間を確保し、「SL大樹」を安定して運行するためには2台目が必要。下今市駅の蒸気機関庫も2台分用意されている。東武鉄道は当初から2台運行を考えていたと思われる。

引退した蒸気機関車の修復は数億円かかるという。新型特急車両を1編成増備する費用と同じくらいというから、蒸気機関車の集客効果はそれと同じかそれ以上の価値がある。東武鉄道の本気を見た気がする。

近鉄、フリーゲージトレインの勝算 - 新幹線でなければできる?(第122回)

新幹線と在来線を直通できる車両として期待されたフリーゲージトレイン。海外では実用化されており、日本の鉄道技術ならできると思われた。いったんは北陸新幹線大阪乗入れや長崎新幹線(九州新幹線西九州ルート)でも採用を決めた。しかし新幹線が求める性能と合致せず、開発は難航している。

そこに突如、近鉄が名乗りを上げた。近鉄も標準軌路線と狭軌路線を持ち、直通できる方法を模索していたようだ。近鉄版フリーゲージトレインが実用化されると、近鉄特急の路線網がもっと柔軟に構築できる。東急と京急を接続する「蒲蒲線」や、なにわ筋線への阪急電車の乗入れも可能になるかもしれない。近鉄が起こす革命的挑戦に期待したい。

東北・上越・北陸新幹線、大宮駅発着臨時列車に期待大(第116回)

JR東日本の新幹線で新たなアイデアを実行している。いままでは大半の列車が東京駅発着としていた。近年は大宮駅を活用する動きが本格化している。ひとつは大宮駅6時0分発の臨時「はやぶさ」で、新函館北斗駅に9時41分に着く。定期列車の初便は東京駅6時32分発「はやぶさ1号」で、新函館北斗駅到着は10時57分だった。大宮駅始発の臨時「はやぶさ」は1時間早く着く。

10時前というタイミングも良い。観光地は10時オープンという店舗、施設が多いからだ。今回の臨時列車は土曜日運行だったけれど、平日運行でも10時前の到着ならビジネスに便利。乗車率も8割以上と好評だったようだ。じつは山手線の西側にある池袋駅、新宿駅、渋谷駅、恵比寿駅から東北・上越・北陸新幹線に乗る場合、東京駅や上野駅で乗り換えるより、湘南新宿ラインで大宮駅に行ったほうが早い場合がある。

これは山手線西側の主要駅で接続する西武鉄道、京王電鉄、小田急電鉄、東急電鉄の沿線も同じ。大宮駅乗換えの潜在的需要は大きい。自由席に乗るなら東京駅のほうがより確実に座れるけれど、もし大宮駅始発の列車があれば、大宮駅で自由席にも座りやすくなる。もともと東京~大宮間の新幹線は過密ダイヤになっている。大宮駅始発・終着なら各方面の新幹線を増発しやすい。

大宮駅でスイッチバックし、東北新幹線・北陸新幹線を直通する臨時列車も好調のようだ。今後、臨時列車を中心に大宮駅始発・終着の列車が増えるかもしれない。

赤村トロッコ油須原線、未成線を引き継ぎ15周年 - 乗車4万人達成(第145回)

10月27日に開催された「第2回全国未成線サミットin赤村」を取材した。未成線とは、線路施設が完成したにもかかわらず、開業しなかった路線などを指す。そのもったいない施設を生産や観光に生かそうという試みがある。生産面ではトンネルを使ったキノコ栽培やワインの貯蔵、観光面では散歩道やトロッコ列車の運行などだ。

筑豊炭鉱地域の南にある赤村で、かつて油須原線という計画路線があった。しかし炭鉱の閉山とともに計画は停止し、「幻の鉄道」となった。そこに市民ボランティアがトロッコ列車を走らせている。未成線観光の先駆者的な存在といえる。観光資源として有望だと思うけれど、商業的成功をめざすとボランティア運営の限界も感じる。「もったいない精神」課題を解決し、全国の未成線沿線が元気になってほしい。

  • 赤村トロッコ油須原線は2003年に開通。2018年10月に開通15周年を迎えた

その他、韓国と北朝鮮の線路接続と直通列車の運行実現について、JR北海道の経営立て直しと赤字線支援、または廃止問題など、今後の経過を見守りたい話題が多かった。2019年は鉄道関係でどんな話題があるか。前向きで楽しい話題がたくさんありますように。