2018年の日本映画界で注目された『カメラを止めるな!』。最初はたった2つの映画館で上映されていましたが、口コミで評判が広がり異例の大ヒットとなりました。意外なストーリー展開がツボにはまり「もう一回見たい!」という人が多いといわれています。

この作品の監督・脚本・編集を手掛けた上田慎一郎監督に、ご自身の読書についてお話を伺うことができました。上田監督は今までどんな本に影響を受けてきたのでしょうか?

■本を読むことで、突き動かされていた時期があった

――監督は今までどんな本を読まれてきましたか?

18歳ぐらいから24歳頃まで自己啓発本を読みあさっていました。それが今の自分の人生へ大きく影響していると思います。デール・カーネギーの『道は開ける』などいわゆる古典といわれている本や、スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』、ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』などを読んでいました。

数多くの本を読みましたが、一番自分に影響を与えているのは、岡本太郎さんが書いた『自分の中に毒を持て』という本ですね。これがすごく僕自身の心に刺さりました。


――18歳から24歳というと、監督が苦労されていた時期と重なりますが、その頃に読んだからこそ、心に刺さったのでしょうか?

そうですね。僕はすごく影響を受けやすいので、そういう本を読んで、突き動かされていた部分もあります。特に岡本太郎さんは逆説的な言葉が多いんですよ。「成功は失敗のもと」だとか「失敗をしたっていいじゃないか」みたいな。それらの言葉に共感しました。

一通り自己啓発本を読んだら、勝間和代さんや堀江貴文さんの本を読むようになりました。時間を効率的に使えとか、マトリクス図(*)を作って消費の時間を減らして投資の時間を増やせという内容のもので、僕も一時期、何にどれぐらい時間を充てたかを手帳に全部書いていました。

(*)マトリクス図:あるテーマについて関連する情報を縦軸と横軸に分類した図のこと。

■好きな作家が勧める本を読み進めれば、読みたい本が増えていく

――読みたい本はどのようにして選んでいますか? 

自分がはまっている作家が勧めている本をたどっていくことが多いですね。そうすることで、1冊読むと何冊も読みたい本が増えていきます。

自己啓発本の軸だけでお話をしましたけど、小説も読みます。意外に思われますが、エンターテインメント小説よりも純文学が好きです。例えば夏目漱石の『こころ』、村上春樹さんの『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』、J.D.サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』などですね。


――いろいろなジャンルの本を読まれるんですね。

他にも池井戸潤さんの小説も読みますし、マクドナルドの創業者レイ・クロックの自伝『成功はゴミ箱の中に』は面白かったです。

また何もなかった原宿にアパレルショップを作って一世を風靡したルポを書いた森永博志さんの『原宿ゴールドラッシュ 青雲篇』が面白くて、その流れで読んだ森永さんの著書『ドロップアウトのえらいひと』もすごく好きでした。

■高校生には「俺もできる!」と気持ちを熱くする本がおすすめ

――今の高校生におすすめの本はありますか?

どういう本を読めばいいのかというのは、人によると思います。僕の場合は自己啓発本を読んだらすぐに行動をしたい派だったので、本の内容を真に受けて失敗を繰り返したこともありました。でも高校生は多少失敗したほうがいいと思うので、自分の心を熱く燃やしてくれるような本がいいのかなと思います。

例えば『原宿ゴールドラッシュ 青雲篇』はおすすめですね。岡本太郎さんの『強く生きる言葉』は、どこから読んでも名言が書いてあるのですごく読みやすいと思います。少し過激ともいえるような言葉が書いてあるので、心に刺さる人には刺さるのではないかと思います。僕もことあるごとに、友人にプレゼントをしていた本です。

高橋歩さんが書いた『毎日が冒険』は、若者向けにおしゃれな装丁になっていて、写真が多く、熱い言葉が書いてある本です。高橋さんご自身が友達に借金をしまくって、イカしたバーを作るまでの奮闘記が書かれている半自伝ですが、エンターテインメントとしても読めますし「俺もできるんじゃないか」「何かしよう」とやる気に駆られる本だと思います。



「どんな本を読まれますか?」という質問に対し、次から次へと書籍名をあげてくださった上田監督。かなりの読書家だということが分かりました。また苦しい時期に読んだ本が自分を突き動かし、深く影響を受けたという話はとても共感できました。

次回は映画について、そして上田監督の高校時代の話をお伝えしたいと思いますので楽しみにしていてくださいね。

【取材協力】
映画監督 上田慎一郎