2018年12月22日より公開されている映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』は、『仮面ライダージオウ』(2018年)と『仮面ライダービルド』(2017年)のキャラクターが豪華共演を果たすほか、『仮面ライダークウガ』(2000年)から始まった「平成仮面ライダー」の主役ライダーたちが集結を果たし、ジオウ、ビルドと共に強敵を相手に大暴れするのが話題を集めている。

  • 高岩成二(たかいわ・せいじ)。1968年生まれ。埼玉県出身。高校在学中にJAC(現:JAE)に入門し、東映特撮作品のキャラクターアクションを多く務める。『ビーファイターカブト』(1996年)ではビーファイターカブトのスーツアクションと共に、ビーファイターゲンジ/フリオ・リベラ役で出演した。平成仮面ライダーシリーズでは『クウガ』『響鬼』以外のすべての主役ライダーを演じて「ミスター仮面ライダー」と呼ばれ、スタント・アクションを志す若手たちの憧れの存在となっている。撮影:大塚素久(SYASYA)

18年、20作もの間、高い人気を保ち続けてきた平成仮面ライダーの魅力のひとつとして、「人間」から「常人の力を超えた能力を備えた"超人"」へと瞬時に変化する「変身」という要素がある。人間のときは強くなくとも、いざ変身ベルトを装着し「変身!」と叫ぶと、全世界を救うことのできるスーパーヒーローへと変わることができる。これが「変身」の醍醐味だといえよう。この仮面ライダー(主役ライダー)たちの「変身」後をほぼすべて(20作品中18作)演じているのが、JAEに所属する俳優・高岩成二である。力強いアクションと抜群の表現力で歴代仮面ライダーのキャラクター造形に多大な貢献を果たしている高岩に、歴代仮面ライダーを演じてきたこれまでの振り返りと、仮面ライダーを演じる際にどのようなことを心がけているのか、そして映画での歴代仮面ライダーに込めた"思い"などを、静かな語り口、かつ強い熱意を込めて語ってもらった。

――映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』は『仮面ライダークウガ』(2000年)から『仮面ライダージオウ』(2018年)まで、20作品の"主役ライダー"たちが勢ぞろいしたポスタービジュアルが目をひきます。ほぼすべての仮面ライダーを演じられてきた高岩さんは、このポスターをご覧になってどんなことを思われましたか?

20人もの仮面ライダーがそろってポーズを決めている画はまさに壮観ですね。もう20作も続いてきたのか、と改めて感慨深いものがあります。僕は『クウガ』と『響鬼』は演じていないのですが、『仮面ライダーディケイド』(2009年)のとき、ディケイドが変身(カメンライド)した姿としてクウガや響鬼もやりましたから、一応ひととおりの仮面ライダーには関わっていることになります。

――ここで、高岩さんが初めて「平成仮面ライダー」に携わられた『仮面ライダーアギト』(2001年)についてお聞きしてみたいと思います。それまで高岩さんがスーツアクションを務められていた『ビーファイターカブト』(1996年/ビーファイターカブト)や『忍者戦隊カクレンジャー』(1994年/ニンジャレッド)などと比べて、仮面ライダーアギトはどんなところが違っていましたか?

『クウガ』から撮影方式がフィルムからVTRに変更されたことが非常に大きいですね。フィルム時代のアクション用スーツは動きやすさを重視してディテール面にはこだわっていなかったのですが、より鮮明に映ってしまうVTRではアクション用もそれなりの造型を施さないといけませんから、それだけスーツアクションとしてはやりづらくなってしまうんです。

また『アギト』では、変身した後の芝居で苦労したのを覚えています。それまではわりとデフォルメした表現をしていたのが、アギトでは「それじゃ戦隊っぽい」と言われ、NGになることが多かったんです。あまり「動きすぎる」と指摘されたので、苦労に苦労を重ねた末に「動かない」芝居にスイッチしたら、それでOKが出ましたね。

――アギトがライダーキックを放つ一連のアクション(腰を落として構える→足下にアギトの紋章が浮かび上がる→敵に鋭い飛び蹴りを放つ)が非常にカッコよくて鮮烈な印象を残しましたが、このアクションが生まれた経緯を教えてください。

あれはアクション監督から「居合抜きのスタイルでいきたい」と言われ、刀を抜く動作を取り入れて作ったものですね。刀を腰に挿しているかのように低く構えて、相手を十分に引きつけた上で、素早く抜刀するという居合いの動きをライダーキックに取り入れています。やっているときは、まるで時代劇のような感覚でした。

――『アギト』に続いて『仮面ライダー龍騎』(2002年)でも仮面ライダー龍騎を演じることになった高岩さんですが、龍騎とアギトで大きく変わった部分はあったのでしょうか。

演じる側としては、『アギト』が終わったので次は『龍騎』なんだな、という感じでした。もう次の仮面ライダーはやらないのかな、と思っていたら『仮面ライダー555(ファイズ)』(2003年)が始まって、それからは毎年仮面ライダーがある、みたいな感じになりました。

――『アギト』の津上翔一はアギトに変身すると無駄のない戦闘スキルを発揮していましたが、『龍騎』の城戸真司はもともと偶然に仮面ライダーへの変身能力を身に着けたこともあって、素人感覚といいますか、スマートではない戦い方が人間味を感じさせました。龍騎のアクションについてお聞かせください。

なりゆきで仮面ライダーになった男ですからね。それまでやってきた、いわゆるヒーロー的な動きだけでなく、真司ならではの普通の感覚というか、はっちゃけた雰囲気を変身後でも表現したほうがいいかなと思ってやっていました。

――特に印象的なのが、第1話でまだドラグレッダーとの契約を済ませていない「ブランク体」に変身した龍騎が、唯一の武器である剣をモンスターに折られてしまい「折れたーーーッ!?」と驚くシーンでした。

あれは僕が本番でとっさにやったアドリブ芝居なんですよ。一応、剣が折れるところまでは台本に書いてあるんですけれどね。とりあえずミラーワールドで戦ってみたものの、モンスターと契約していないブランク体なのでとても弱く、剣もあっけなく折れてしまった。そこで何か一言入れておきたくなっちゃって、本番で「折れたーーーッ!?」と叫びながらあのリアクションをしてみたんです。そうしたら田崎(竜太)監督が拾ってくれまして、真司役の須賀(貴匡)がアフレコで同じようにセリフを言ってくれたんです。決してスマートなだけでない、人間的な芝居が出来たという手ごたえがありましたし、須賀もあのあたりで真司というキャラが見えてきたんじゃないかと思いました。行動を共にしているのがクールな仮面ライダーナイトですから、対照的に龍騎はすぐ熱くなり、ナイトに食ってかかるなどの演技を積極的にやって、両者とのコントラストをはっきりさせたいと考えていました。