Windows 7の延長サポート、2020年1月14日まで

日本マイクロソフトは10月17日、2020年1月14日に延長サポート終了を迎えるWindows 7と、同じく2020年10月13日で延長サポートが終了するOffice 2010から、新バージョンへの移行状況を説明する記者会見を開催した。

すでにサポート終了移行支援サイトの設置や法人向けサポート終了相談窓口設置。そして法人市場向け告知の強化を1月23日の時点で表明済み。さらに移行や導入に向けたイベント/セミナーの全国展開を約束したが、2018年9月末時点で705回約2.1万人が参加したという。新たな施策として「早期導入企業向けキャッシュバックキャンペーン」「全国10都市キャラバン with 『中小企業お助け隊』」を実施する。

  • 左から日本マイクロソフト 業務執行役員 Microsoft 365ビジネス本部長 三上智子氏、日本マイクロソフト 執行役員 コンシューマ&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長 梅田成氏

働き方改革NEXTと「MINDS」設立へ

日本マイクロソフトは、働き方改革を次のレベルへ押し上げる「働き方改革NEXT」へ注力することを4月に表明していた。そしてこの11月、異業種連携によるミレニアル世代の働き方改革推進コミュニティ「MINDS(Millennial Innovation for the Next Diverse Society)」を2019年1月1日から発足すると表明。

4月の説明では、Office 365のWorkplace AnalyticsやMyAnalyticsを使って、組織レベルの気づきを、個人の行動変革に生かす具体的な取り組みだったが、11月のそれは2025年までに世界労働人口の75%が35歳以下となる"ミレニアル世代の台頭"を見据えた取り組みだ。

同社は「クリエイティブチャイルドの育成が日本の未来を築く上で重大なテーマ。(ミレニアル世代の台頭で)企業はどの世代にもリノベーションの準備が必要」(日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 兼 働き方改革推進担当役員 手島主税氏)と警鐘を鳴らす。これらの取り組みが日本社会に少なからず寄与する可能性は高い。

  • 日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 兼 働き方改革推進担当役員 手島主税氏

MFA障害発生でOffice 365やAzureにアクセス不可能

クラウドは常に使えて当たり前だが、そうでないことを改めて気づかせる事件が発生した。米国時間11月19日午前4時、Azure Active DirectoryのMFA(多要素認証)に障害が発生し、同日午後6時半に復旧。続く米国時間27日午後2時半から午後5時半までの約3時間、同様の障害が起こった(これらの情報はAzure Status Historyで確認できる)。これにより、多くのユーザーがOffice 365やAzureにログインできない事態が発生した。

1度目はMFAシステムの負荷が高まった際のキャッシュサービスの遅延にはじまる3つの根本原因によりリクエスト処理が不可となった。2度目はMFAシステムが使用するDNSエントリーの期限切れが原因だった。インフラ化したクラウドの安全性を担保するためのMFAだが、そのシステムが原因でクラウドが利用できないのは意外な落とし穴といえよう。

  • トラブル発生時のMicrosoft 365 Admin Center。Microsoft 365へサインインできない旨の障害を説明している

開発ソリューションを多数刷新した「Microsoft Connect(); 2018」

Buildと同じく開発者向けイベントである「Microsoft Connect(); 2018」が米国時間12月4日に開催された。現在Microsoftと日本マイクロソフトが開催する年次イベントで、Microsoftの「Microsoft Worldwide Partner Conference」は、日本マイクロソフトの「Microsoft Japan Partner Conference」。同じく「Microsoft Envision」は「Microsoft Foresight」。「Microsoft Ignite」は「Microsoft Tech Summit」。「Microsoft Build」は「Microsoft de:code」に相当し、同社を追いかけている筆者もたまに混乱してしまう。今回のMicrosoft Connect(); 2018をユーザーコミュニティと楽しむイベント「Connect(); Japan 2018」も開催されるようだ。

さて、Microsoft Connect(); 2018では、Visual Studio 2019を始めとする開発ツールやサービスの発表が中心。Windows Forms/WPF/UI XAML Libraryのオープンソース化と共に、デスクトップアプリを.NET Coreで書けるようになり、DockerやHashiCorpと協業したクラウドアプリケーションのパッケージ「CNAB」など注目すべき箇所は多い。

  • 基調講演に登壇したMicrosoft EVP Cloud+AI, Scott Guthrie氏


1年を通して振り返ると、Microsoftの新製品や新ソリューションが日本市場に浸透しつつ、社会のデジタルトランスフォーメーションが着々と進んでいる印象を受けた。この記事を書いている時点で、日本マイクロソフトは発売時期を明らかにしていないが、来年2019年は米国で発売が始まったSurface ヘッドホンが発売されるだろうし、マイナーな更新にとどまったSurface Pro 6の後継モデルでは、2in1 PCに新たな基軸を持ち込んでくれるだろう。

阿久津良和(Cactus)