――「人気出します」と宣言して、に人気を本当出してしまうところが武田さんの"本気"を感じさせますね。

一海を演じるにあたり、仮面ライダーとしてのカッコいい要素を詰め込んでやろうと思ったんです。変身ポーズも、仮面ライダーの必須項目として全力でやりました。変身ポーズこそ、仮面ライダーのヒーローらしさを如実に表す動作ですからね。僕は"自然体"で変身することに違和感を持っているので、変身するときはちゃんと気合いを込めたポーズを取りたいんです。アクション監督の宮崎(剛)さんと相談しながら、自分なりのアイデアを取り入れながらグリスの変身ポーズを作っていきました。

――上堀内監督の第46話「誓いのビー・ザ・ワン」で、一海がグリスブリザードへ「最後の変身」を行うくだりは、まさに『仮面ライダー』史上に残る名シーンとして鮮烈な印象を残しましたね。ビルドドライバーの「Are You Ready?」の音声に「できてるよ」と応える一海のセリフと表情は、ライダーファンにとって100点満点のカッコよさだと断言できますよね。

100点どころじゃないですよ。1万点……いや『仮面ライダー』ファンの人数分の得点をいただいたと僕は信じています。あれは台本にないセリフだったのですが、僕だけで作ったものではありません。監督の上堀内くんから「夏の劇場版『Be The One』で、万丈が『Are You Ready?』の声に『ダメです!』と返事したのが面白かったので、一海でもそういう返答がやりたい」と提案があり、たとえば「できてるよ」というのはどうかと聞かれたので「準備ができてるかではなく"覚悟"ができてるよ、という解釈なら良いです」と言ったら、もちろんそっちで行きましょうということになりました。

彼の何がすごいかというと、ひとつの作品のために「命」を懸けるくらいの思いと気迫で取り組んでいるところと、ひとつひとつのシーンに絶対妥協しないところです。また、全員ぶんのセリフを頭の中に叩き込んでいるところもすごいですね。それだけ、台本を読みこんでいることが、演出の説得力につながっている。そんな上堀内監督と僕の「絆」から、あの「できてるよ」が生まれたんです。最高ですよね(笑)。

――映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』では、テレビの最終回以来ひさびさにグリスの活躍が観られるんですね。戦兎、万丈、幻徳と一海の共演も久しぶりだと思いますが、今回の映画についてのご感想をお願いします。

今度の映画は平成最後の「仮面ライダー」映画という、いわば歴史の節目というべきものですよね。そんな作品に参加することができた、というのが非常にうれしいですし、誇りに思いますし、感謝しています。「仮面ライダー」を応援してくださるファンのみなさんにどういった恩返しができるかと考え、一海らしい一生懸命さを見せたり、セリフ回しで僕にしかできないことを言わせてもらったりしました。

映画には、歴代の平成仮面ライダーが出てきて、それぞれのライダーを観ていたさまざまな年齢の方たちの「記憶」や「思い出」というのが大きなテーマになっています。平成という激動の時代の中で、子どものころ仮面ライダーを観ていた当時の「記憶」を甦らせて、「あのころの自分には、こんな出来事があったなあ」なんていう思いを抱いてくれたら、すごく嬉しいですね。大人の方は自分が子どもだったころを思い出し、子どもたちは現役のライダーの活躍を楽しむ。この映画はまさに親子、家族全員で楽しめますし、みんなそろって『仮面ライダー』の魅力を感じてほしいんです。

――武田さんはイベントやインタビューなどで「また10年後に『仮面ライダー』に戻ってきたい」と話されていますが、それが実現した際には、どのような役柄での出演を構想していますか?

『ビルド』で言えば、エボルトのポジションを演じてみたいですね。全ライダーを相手にする強敵の役。もしくは、1つの作品の中でいろいろなライダーに変身する役。いずれにせよ、10年後のスケジュールは『仮面ライダー』のために確保しておきたいと思います!(笑)

映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』は現在公開中。なお、マイナビニュースでは平成仮面ライダー20作を記念した『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』大特集を展開している。

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