「失われた娯楽を求めて -極西マンガ論-」帯付き

文芸評論家の仲俣暁生による初のマンガ評論集「失われた娯楽を求めて -極西マンガ論-」が、本日12月19日に駒草出版より刊行された。

「十代の終わりの頃、私はマンガ評論家になりたい少年だった」「たぶん『自分』を成り立たせているもののなかで、その頃はマンガがいちばん大切だと思っていたからだ」と、著者のマンガ遍歴を綴った前書き「夢みる頃を過ぎても」から同書は開始。主に1980年代に興隆を見せたマンガのニューウェーブについてを、自身の体験を振り返りながら語り、この本がニューウェーブの作家と作品、その流れを受け継ぐ現代のマンガ家について評したものであると解説している。

本は3部構成になっており、作家論を扱う第1部には「岡崎京子論」「楳図かずお論」「安野モヨコ論」「西原理恵子論」「島本和彦論」「藤田和日郎論」「皆川亮二論」「松本大洋論」が掲載された。続く第2部では作品単位での評論を展開しており、衿沢世衣子「向こう町ガール八景」、渡辺ペコ「キナコタイフーン」、松本剛「甘い水」、西島大介「アトモスフィア」、鈴木志保「ベイビーの卵」、五十嵐大介「海獣の子供」、望月峯太郎「万祝」、今日マチ子「cocoon」という8タイトルを取り上げている。「cocoon」評は本書のための書き下ろし。今日は本書の装画を手がけており、第3章では著者・仲俣と対談も行っている。