日本総合研究所(以下、日本総研)は12月14日、同社が主催する「まちなか自動移動サービス事業構想コンソーシアム(以下、まちなかコンソーシアム)」において、自動運転技術を活用した近隣移動をサポートするサービスの実証実験を行うことを発表した。

同実験は12月16日~2019年2月1日の間、神戸市北区筑紫が丘・広陵町・小倉台・桜森町にて実施される。住宅地内を低速で走行する乗合の移動サービスをはじめ、近隣店舗の広告や防災など地域情報の配信サービス、移動サービスから得られるデータの利活用などについて実証する予定。これを通じて、同サービスの受容性を検証するほか、需要見込みとコストの試算や、事業化に必要な情報の収集・分析を行っていく。

運行方法とルートの受容性検証では、4つの定ルートを設定し、それぞれのルート上に乗降ポイントを設置。利用者がWebサイト・電話・AIスピーカーを通じて利用区間のリクエストを行うと、配車システムから車両に走行ルートの指示を行い、乗降ポイントまで配車する仕組みを検証する。この検証では、年齢構成や地形など、それぞれ特徴が異なる地区における利用の状況を比較・検討し、今後のサービス設計に活用していく。

  • 実証実験のルートと乗降ポイント

また、同実験で使用する車両としては、大型ミニバンのほか、軽のワゴン車を改造した車両も導入する。これらを比較評価をすることで、住宅地内の走行に適切で、高齢者にとっても快適な車両のあり方を検討したい考えだ。

さらに、車両を介した情報伝達の方法として、車内で広告や販促支援を提供するサービスを実証する。具体的には、車内にディスプレーを設置し、目的地や利用者の属性に応じたタイムリーな広告やクーポンを表示。クーポンの利用結果を通じて、広告・販促支援・送客効果を実証する。加えて、車内に設置するタブレットでは、ハザードマップや避難所マップなど、神戸市が保有する防災情報や自治活動等の地域情報を表示する実証も行う予定となる。

なお、同社はこれら実験の成果をもとに、2020年の実装を目指し、ローカルMaaS(Mobility as a Service)のモデルとなる持続可能な自動運転移動サービスの事業仮説を構想したい考えだ。