12月13日、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)は、今年1年の実績と来年に向けた活動について発表する記者説明会を開催。まずは、今年の実績について、岡村秀樹会長から説明が行われた。

JeSU会長 岡村秀樹氏

設立初年度でJeSU公認大会の賞金総額は1億円オーバー

JeSUは今年1月22日に発足し、2月1日から活動を開始。日本におけるeスポーツの振興を目的に活動を進めており、2月に開催した「闘会議2018」では、JeSU認定タイトルの制定とプロライセンスの発行を行った。

岡村氏は「ライセンスの発行によって、賞金付きeスポーツ大会の開催を実施しやすくなりました。設立初年度に行われた公認大会34大会の賞金総額が1億2977万円を記録し、JeSUの活動として、これは成功したと言えるでしょう」と胸を張った。

今年1月に発足し、2月より活動を開始したJeSU
2月に開催した闘会議では16人にプロライセンスを発行。同イベントでは賞金総額2815万円のeスポーツ大会も実施された
JeSUのライセンス認定タイトルは11タイトルまで増えた。公認大会は合計で34大会。賞金総額は1億円を超えた

6月には「アジア競技大会」の国内予選を行い、ジャカルタ パレンバンに3名の選手を派遣。『ウイニングイレブン』部門では、見事、初の金メダリストが誕生した。

9月の「東京ゲームショウ2018」では「e-Sports X」ブースを設置し、フェイエノールトと浦和レッズの『FIFA 18』国際親善マッチをはじめ、さまざまなeスポーツイベントをサポート。そして、11月に台湾で開催された「第10回 eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」では、『鉄拳7』の破壊王選手が銀メダルに輝き、デモンストレーション競技として急遽採用となった『モンスターストライク スタジアム』の日本チームは、金・銀メダルを独占する快挙を成し遂げた。

また、上記のような大会開催や国際大会への選手派遣だけでなく、JeSUは国際eスポーツ連盟(IESF)の正規会員登録という実績も残している。

これらJeSUの貢献もあってか、eスポーツという言葉自体の認知度も格段に上がり、「新語・流行語大賞のトップテン入り」や「ヒット商品番付の小結」にも選ばれた。

台湾で行われた「第10回 eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」では、『鉄拳7』で破壊王選手が銀メダルを獲得。『モンスト』もデモンストレーション競技に採用された
IESFの正会員加盟も決定。「準加盟で実績を積んでから正会員へ昇格する」というのが一般的なケースであるが、今回日本は異例のスピード加盟を実現した
話題の言葉として「eスポーツ」が認知されつつある
eスポーツは来年の国体の文化プログラムとしても採用された

なお、今回の説明会では、新たにビックカメラが公式スポンサーの仲間入りを果たしたことも発表された。

これまでのスポンサー6社にビックカメラが加わった

闘会議とJAEPOでは日本代表vsアジア代表の国際戦を実施

次に来年、「闘会議2019」と「ジャパン アミューズメント エキスポ(JAEPO)2019」と同時に開催される「eSPORTS国際チャレンジカップ~日本代表vsアジア選抜」について、JeSU副会長の浜村弘一氏から発表があった。

この選抜大会は、JeSUとアジアeスポーツ連盟(AESF)による共同開催で、2団体が承認する4タイトルで対戦する。競技タイトルに選ばれたのは、『ウイニングイレブン 2019』『Counter-Strike:Global Offensive』『ストリートファイターV アーケードエディション』『鉄拳7』。選抜選手や競技方法などは、近日中に発表する予定だ。

JeSU副会長 浜村弘一氏
闘会議2019、JAEPO2019と同時に開催される「eSPORTS国際チャレンジカップ~日本代表VSアジア選抜」。賞金総額は4タイトル合計で1500万円

最後に、地方のeスポーツプレイヤーの育成や支援、イベントの開催などを後押しするための、JeSU地方支部開設について発表された。

まずは、JeSUの前身である日本eスポーツ協会時代の地方支部として機能していた11団体を、JeSUの地方支部として認定。今後も地方支部の数は増やしていく予定だが、早急に事を進めることはせず、実績を積んだ団体に対してじっくりと審査を行い、認定していくとのことだ。

1月21日より活動が開始されるJeSUの地方支部。地方のeスポーツ活性化を後押しする。開設されるのは、北海道eスポーツ連合(金子淳)、山形県eスポーツ連合(成澤五一)、富山県eスポーツ連合(堺谷陽平)、石川県eスポーツ連合(島倉福男)、東京都eスポーツ連合(筧誠一郎)、静岡県eスポーツ連合(山崎智也)、愛知県eスポーツ連合(片桐正大)、大阪府eスポーツ連合(管野辰彦)、兵庫県eスポーツ連合(五島大亮)、岡山県eスポーツ連合(本村哲治)、大分県eスポーツ連合(西村善治)の11支部(1月21日より)。()内は会長名

課題ややるべきことが山積しているJeSUにとっては、まだまだ通過点ですらない状態ではあるが、それでも1年目として十分な成果を上げたのではないだろうか。浜村氏は説明会で「IPホルダーができないことをやっていく」と述べたが、来年以降も国と国の折衝や国への働きかけ、国際大会への進出などに期待したいところだ。

(岡安学)