NECは11月13日、世界で初めて開発したというネットワーク(イーサネット)を利用して、コンピュータや産業機器などのさまざまな機器で利用されている業界標準バス規格であるPCI Expressを拡張する技術「ExpEther」(エクスプレスイーサ)のIPコアの提供を開始した。

近年、次世代インダストリーに向けて、製造現場における産業機器は多品種少量生産や生産性向上のために、短期間開発や、低コストと高性能の両立が求められており、低コストで高性能なイーサネットやPCI Expressを活用するケースが増加しているという。

しかし、産業機器はネットワークの高信頼性や機器の分散配置が求められるため、イーサネットでは高信頼通信、PCI Expressでは距離延長の対応が課題となり、その解決が求められている。

イーサネットを従来のIPデータ通信用として用いるだけでなく、接続距離が限られるPCI Expressやクロック信号、ユーザー独自のI/O信号などのデータ通信路として用いることで、接続距離の延長を可能としているほか、一般的なイーサネットスイッチ機器や無線LAN機器を用いた場合においても、データが欠損しない高信頼転送を実現するという。

これまでExpEther技術を搭載した製品は、大学や企業への導入をはじめ、公共・社会インフラシステムなどを中心に採用されており、今回次世代インダストリーの早期実現を目指すユーザーとの共創に向けて、低コストなFPGA(Field Programmable Gate Array)に組み込みを可能とし、短期間で導入を実現するExpEtherIPコアのライセンス提供を開始することにした。

新技術は、PCI Expressの標準規格に準拠し、既存機器のOS、ドライバ、ハードウェアを変更することなく、PCI Expressの距離延長を実現し、具体的にはPCI Expressインタフェースを数km以上延長することができる(I/O拡張)という。また、さまざまな信号を低遅延かつデータロスなく転送可能(高信頼・低遅延転送)とし、PCI Expressのデータに加え、工場における緊急停止ボタンのON/OFF信号や、同期のためのクロック信号など、ユーザー独自の信号の転送も実現するとしている。

さらに、ネットワーク上に接続したPCI Expressのデバイスを、ソフトウェアなどで自由自在に接続変更を行う事で、機器の柔軟な構成変更を実現するという。

提供形態は、対象FPGAが1G版がインテル Cyclone V FPGA、10G版がインテル Cyclone 10 FPGA、40G版がインテル Arra 10 FPGA、Xilinx Kintex UltraScale、仕様は1G版がPCI Express Gen1×1 1G Ethenet、10G版がPCI Ezpress Gen2×4 10G Ethernet、40G版がPCI Express Gen3×8 40G Ethrnetとなり、価格は個別見積もり。

  • 対象FPGAと仕様の概要

    対象FPGAと仕様の概要

今後、同社ではExpEtherのIPコアを産業機器メーカーを中心に今後3年間で30社への販売を計画し、インダストリー領域での活用が期待される無線転送への対応や、導入が加速するロボットへの活用、工作機器業界、産業用機器業界でのエコシステムの構築により、次世代インダストリーの実現を目指す。