アイドルグループ・嵐の相葉雅紀が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『僕とシッポと神楽坂』(毎週金曜 23:15~ ※一部地域除く)に出演する俳優・イッセー尾形。相葉演じる高円寺達也に動物病院を任せ、姿を消してしまう徳丸善次郎を演じている。

9月に放送された『NHKスペシャル 未解決事件』では、國松孝次警察庁長官(当時)の狙撃に関わった可能性があった老人・中村泰を演じて大きな話題を呼んだイッセー。今作が初共演となる相葉&広末涼子についてや、自身の代名詞でもある1人芝居とドラマでの演技の違いなどを明かした。

  • イッセー尾形

    イッセー尾形
    1952年2月22日生まれ。81年に『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ系)で金賞を獲得。1人芝居の第一人者としても知られる。近年では『沈黙 -サイレンス-』などの映画や、『カルテット』(17年・TBS系)、『透明なゆりかご』(18年・NHK総合)などといったドラマに出演。 撮影:蔦野裕

原作者・たらさわみち先生はイッセー尾形の大ファン

――台本を読まれた印象をお聞かせください。

徳丸(善次郎)はがっぷり病院で働いている人ではなくて、もう初回から引退してる人なんです。とはいえ、引退したら出てこないんじゃないかと思ったけど、引退してもなんか理由を見つけては出てきます。リタイアした人が自分の会社にもう1回顔を出して、別に白い目で見られるわけでもなくて、むしろ歓待してくれて居心地が良いという。リタイアした人の夢をかなえるような、「リタイア人間」の理想の場所だなとも読めました。だからそれを楽しもうと思いましたね。

――もちろんイッセーさんはリタイアするご予定はないと思いますが、そういった意味では共感できたんですね。

なんとなくはリタイアの、居場所がないということの想像はしますから。でも、自分が過去にいたところがもう1度居場所になるということは、なかなか深いなと思いました。

イッセー尾形

――原作者のたらさわみち先生は、イッセーさんの大ファンということで、「原作でももっとハンサムに描いておけばよかった」とコメントされていました。

そう言っていただいてうれしいですね。

――たらさわ先生は以前、撮影現場を以前訪問されたそうですが、なにか話されましたか

しなかったです。相葉君たち他の出演者の方と話していたから、ノコノコ出て行ったら失礼なのかなと思って(笑)。

――そうなんですね。たらさわ先生はイッセーさんの大ファンですから、先生からもおそらく声を掛けることができなかったんでしょうね(笑)。

そうか、売り込んでおけば良かったな(笑)。「僕はシャイだから」って書いておいてください(笑)。

相葉雅紀&広末涼子の印象は

  • イッセー尾形

――先ほど相葉さんのお話がでましたが、今回が初共演となる相葉さんの印象をお聞かせください。

とっても良い子。良い子っていうのも変ですかね、良い方です。

――演技を一緒にされての印象はいかがでしょうか。

ニュートラルといいますか、変に色をつけずに「このシーンに一番必要なことはこれ」っていう、ポイントをちゃんと抑える方だなと思いました。俺なんかはすごく雑音ばかり入れるけど、ピッと正しい方向に戻してくれる(笑)。

――広末涼子とも初共演となります。広末さんの印象はいかがでしたか。

広末さんは、自分の芝居というものを全部分かっているというか、頭がすごく良い人だなと思いますね。自分の演技だけじゃなくて、人の演技をちゃんと見られています。「イッセーさん、あそこで余計な手を広げたのは、その前にああいうこと言ったからですよね」って言われて、ギクッとして(笑)。確かにそうだな、見てるんだなと思いました。

――お見通しなんですね(笑)。イッセーさんの中でも「当たっているな」という印象なんですか。

ある、ある。ドンピシャ。見抜いてるよ、いろいろ(笑)。

1人芝居との違いは「コントロールしきれないこと」

イッセー尾形

――イッセーさんは演技をする際に、他の方の演技を見られるんですか。

あんまり見てないね。見てはいるんだけど、なんとなく目の端ぐらいの距離感で、凝視はしない。その辺の漂う感じが好きなのね。それが面と向かって演技をやる醍醐味だと思っているから。真正面を向いてああだこうだっていうのは、むしろ1人芝居に近くて。むしろ「この辺になんかいるな」くらいの距離感の方が、俺は人とやってるなという実感がつかめるの。

――それが1人芝居と、他の共演者の方々と一緒におやりになる演技の違いということですね。

視野が違うと思いますね。1人芝居はお客さんを見るだけだから。お客さんが僕を通してなにを見ているかに神経がいきます。だけど、今作ではその作業はないので、それよりはここでどんな空気ができるかと。空気の作り方というのは瞬間ごと、人がいればいるほど、変わってくるでしょ。1人だとだいたいコントロールできますけど、コントロールしきれないですから、それを楽しむというのかな。

――不確定要素があるということですね。ただ、それが1人芝居にはない魅力なんですね。

そうそう、不確定要素ばっかし。絶対1人ではできない世界がありますからね。即興ライブとかジャムセッションのような、そういう感覚ですね。

実は「ペット好きではない」

  • イッセー尾形

――ところで今作は動物病院が舞台です。ですが、イッセーさんはエッセイ集『正解ご無用』(03年)で「ペット好きではない」「犬嫌い」であることを明かしていました。動物たちと共演することについてはいかがですか。

でも演技的にはすごく良いと思うのよ。やっぱり抵抗はあるわけだけど、努力するじゃない。それが良い風に映ってると思うんだ。本当に好きな人だと、演技でもなんでもないじゃない。だから、ある意味で試練を乗り越えた姿があるからね(笑)。

――まさに「演じる」ということですね。

そうなんですよ。僕としては動物相手に良い演技をしたと思っています。ただ、舞台が動物病院ですから、設定としては元気ではない動物たちが来るでしょ。だから「早く元気になってね」と思いましたね。

――同じ動物モノの作品でいいますと、映画『先生と迷い猫』(15年)に主演されていました。その際、同映画、そして本作『僕とシッポと神楽坂』で監督を務める深川栄洋さんは、「呼んでも来ないけど、エサを置いておくと寄って来る野良猫はイッセーさんとよく似ている」とおっしゃっていたようですね。

失礼でしょ(笑)。当たってるだけに失礼ですよね(笑)。

  • イッセー尾形

――イッセーさんは、ご自身を動物に例えると何だと思いますか。

俺、ラッコが好きなの。なぜかっていうと、ラッコは海から進化して陸にあがったんだけど、でもやっぱり海に戻ろうという、その合間の生態らしいんですよ。そういうのっていいじゃない。戻るに戻れないし、いくにいけない。「じゃあここでいいや、ここに生活の場を置こう」という発想はいいな。ラッコになりたいです(笑)。

――最後に今回演じる徳丸善次郎について、ここを見てほしいという点をお聞かせください。

生き死にを扱う現場にどうしてもなってきますから、息抜きといいますか、そういう人物に収まっていればうれしいなと思いますね。ドラマ全体としても「命」がテーマですから、徳丸みたいな息抜きの命もあるんだというように、命に対する考え方がゆるく膨らむとうれしいですね。

  • イッセー尾形

    『僕とシッポと神楽坂』(毎週金曜 23:15~ ※一部地域除く)
    東京・神楽坂を舞台で開業する若き獣医師・コオ先生こと高円寺達也(相葉雅紀)と、動物や飼い主たちの心温まる交流を描く。イッセー尾形は達也に動物病院を任せ、姿を消してしまう徳丸善次郎を演じる。

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