肥谷圭介作画、鈴木大介原作・原案による同名漫画を実写化し、11月23日から全国公開される映画『ギャングース』。青春期を少年院で過ごしたサイケ(高杉真宙)・カズキ(加藤諒)・タケオ(渡辺大知)の3人が、犯罪者だけをターゲットにした”タタキ”(窃盗、強盗)稼業で後戻り不能な領域に踏み込んでいく様子を描く。

長髪姿の高杉、モヒカンの加藤、金髪の渡辺と、それぞれ今までのイメージとはガラッと変わったビジュアルで、ハードな雰囲気を漂わせる3人。一見、不良作品のようにも思えるが、実は原作のストーリーを共同制作する鈴木は裏社会・貧困問題の取材に取り組むルポライターで、鈴木によるノンフィクション書籍『家のない少年たち』を原案としている。それゆえに、スリルのある展開だけでなく、犯罪へ向かわざるを得なかった少年たちの背景や、犯罪の実態が描かれているところも注目の作品となっている。

  • 左から加藤諒、高杉真宙、渡辺大知

    左から加藤諒、高杉真宙、渡辺大知

『SR サイタマノラッパー』で知られる入江悠がメガホンを取った実写映画は、2月に行われた。郊外を中心に朝から晩まで、ハードな日々が続く同作。入江監督は入念にカット割りを確認するために、1カットに数時間かかることも珍しくないという。取材に伺った日は、世界的ギタリストのMIYAVI演じる安達が登場し、その迫力ある姿を3人が車の中から見守る……というシーンを撮影していた。ショッピングセンターの駐車場で行われた撮影は、一応の壁があるとは言っても寒風がどんどん入り込み、コンクリートがさらに冷えを増幅させるよう。そんな環境の中でも、迫力あるカットを追求し、何度も確認が行われる。

緊張感のある現場だが、合間には仲よさそうに談笑するトリプル主演の3人の姿も。今回は、撮影中の3人に直撃し、話を聞くと、物語の芯や”家族”のような3人の姿が見えてきた。

原作に近づけたビジュアルに

――今回、外見がかなり原作に近く、みなさん今までにないイメージとなっていると思いますが、いかがでしたか?

高杉:エクステをつけてもらっています。僕も漫画を読ませていただいていたので、長い方が良いと思って伸ばしてはいたんですけど、ここまで伸びることはなかなかないですよね。作品については、「自分の知らない、こんな世界があるんだ」と衝撃的でした。いざ演じるとなると、全部伝えられたらいいなと思いました。アクションシーンも多くて、台本を読んだ時点でタタキのシーンのスピード感を想像できました。

渡辺:最初にビジュアルを見た時は自分でも意外という気持ちはありました。でも、原作を読んでから、オファーをいただいた理由が少しわかったような気がして。この3人組は、それぞれの人生で深い傷を負っていて支えあっていて、不安や焦りから苛立つ瞬間とかに、穏やかに鎮められる唯一の存在がタケオだと思ったんです。それが腑に落ちてから、漫画のキャラクターをまんまやろうという気持ちではなく、意識しすぎず演じようと思えるようになりました。漫画を読んで、自分も大ファンになったんです。だから、一原作ファンとしても、タケオというキャラが生きてるように見えればいいなと思って演じています。タケオにとってはこの2人が支えだと思ってるので、2人がいてくれてよかったなあ、と思いながら。

加藤:僕は、トリッキーだからこそ難しいなと思っています。男らしく演じるってこと自体、「できるのかな?」「難しいな」と思っていたんですけど、普段の現場にいるときは自分のことを「俺」と呼んだりと、なるべく普段の僕を消しつつも、自分らしさが残るように演じられたらと思っていたました。この2人とは初めての顔合わせからごはんに行って、仲良くなって。監督から「家族になって欲しい」と言われていたんですけど、撮影2日くらいにはもう、そのくらい良い関係性が築けていました(笑)。