IDC Japanは11月5日、国内企業ユーザーのネットワークに関する「2018年 企業ネットワーク機器利用動向調査」の調査結果を発表した。これによると、パブリッククラウドを利用している企業の68.2%が企業ネットワークの何らかの変更を実施しており、またSaaS利用企業の74.1%がインターネットトラフィックの増加を認識しているという。

  • インターネット接続環境見直しの実施/実施予定項目

    インターネット接続環境見直しの実施/実施予定項目

同調査は、国内企業795社を対象に、企業ネットワークの利用実態や変化、企業活動におけるネットワークの寄与と課題に関して調査したもの。今回の調査から、パブリッククラウドサービスの利用が企業ネットワークを見直す重要な機会になっていることが明らかになったとしている。

パブリッククラウドを利用している企業の68.2%は、導入時に何らかのネットワークの変更を行っており、インターネット接続環境の見直しだけでなく、クラウド利用と直接的な関係が薄いLANの見直しも3分の1の企業が実施している。

また、パブリッククラウドの利用においては、ネットワークの速度とゲートウェイ機器の負荷増加が共通する課題になっていることに加え、パブリッククラウドの利用は企業のインターネットトラフィックの増加にも関係していることが改めて分かったという。

1年前と比べ、インターネットラフィックが増加している企業の割合は、パブリッククラウドを利用していない企業では37.2%に留まっているのに対して、SaaS(Software as a Service)利用企業では74.1%に達している。

さらに、インターネット接続環境の見直しに関する取り組みでは、追加コストの少ないゲートウェイの設定見直しを行う企業が最も多く、30%弱の企業がルータ、ファイアウォールのリプレイスを実施している。

一方で、新しい対策と言えるIPv4 over IPv6は、調査時点では8%程度に留まっているほか、企業ネットワークにおいて、無線LANの存在感が高まっていることも明らかになったという。

新規に無線LANを導入する企業は頭打ちになりつつあるものの、1年前からアクセスポイントを増やした企業は40%近く存在しているという。家庭での無線LAN利用経験が増す中で、従業員からのボトムアップによる導入の要望も、無線LAN環境整備の推進力になっているとしている。

今後も利用拡大は続く見通しで、3年後には平均で45.4%の従業員が無線LANを利用しているという結果も出ているという。企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みを進める中で、経営層の自社ネットワークに対する要求は厳しくなり、企業ネットワークには変革が強く求められていると推測。

一方で、同調査ではネットワーク管理者の60.1%は、現状で経営者や事業部門の要求に応えられていると考えていることも明らかになったという。