村田機械(ムラテック)は11月1日~6日にかけて、東京ビッグサイトにて開催されている「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」において、各種の工作機械のデモ展示に加え、切れない無線を武器に、さまざまな通信規格が接続可能なIoTソリューションの紹介を行なっている。

  • ムラテックのIoTソリューションのイメージ

    ムラテックのIoTソリューションのイメージ

工作機械をIoTでネットワークに接続する、という取り組み自体は、多くの企業が進めており、各社独自のプロトコルを展開するなど、エコシステムの囲い込みが進みつつあるが、同社の提案は、そうした異なるプロトコルであっても、互いに接続させることを可能にしようという点が1つの特徴となっている。

それを実現するのが、現在開発中のプロトコルブリッジで、標準で無線LANをサポートしているほか、つなぐ装置に最適な通信インタフェースが選べる、コンパクトな産業向けブリッジ端末という位置づけとなっている。2019年春の商品化に向けて、開発が進められているが、現時点ですでに設備側としては、FANUC CNCが、上位層としてはMTConnectとOPC-UAに対応しており、今後も設備、上位層ともに対応プロトコルを増やしていく計画としている。

  • 開発中のプロトコルブリッジ

    左が開発中のプロトコルブリッジ

また、同社は子会社として切れない無線を武器に産業分野に無線LANソリューションを提供するサイレックス・テクノロジーを有しているが、今回のJIMTOF2018では、そのネットワーク技術を押し出す形で、他社との差別化が図られている。

例えばUTM+NASという位置づけで、ネットワーク内外の脅威をブロックし、データの安全な保護と快適な利用を可能とする「InformationGuard Plus」は、産業用途向けとして、ランサムウエア対策機能を搭載。独自のセキュリティフォルダ構築技術により、ランサムウエアからのアクセスを防ぐことができ、重要なデータの感染防止を可能としている。

  • 「InformationGuard Plus」の外観

    「InformationGuard Plus」の外観。NASには高耐久のWD REDが採用されている

また、そのオプションとしても今回、参考出品として主に中小企業に向けた納期管理システムのデモも実施。これは、作業指示書などにバーコードを付与し、タブレットと連動させることで、いちいち紙の書類に作業者名や作業内容、作業指示などを書き込まずに、バーコードを読ませるだけで、肩代わりをしつつ、管理者はその情報をデータとして見える化しようというもの。同社では現場も参加できる納期管理とうたっており、今回の展示会にて来場者などからのニーズの吸い上げなどを行ないたいとしている。

  • 納期管理システムの画面

    納期管理システムの画面。バーコードを使って、現場で手軽に管理をすることができるようになる

さらに同社は同じく参考出品としてのAIを用いた主軸故障診断ソリューションの紹介も行なっている。といっても、高額なFA PCなどを導入するのではなく、サイレックスの提供する無線LANユニット上で、これを実現しようというリーズナブルかつ省スペースなソリューション。もとより、サイレックスは、無線LANチップの活用していない領域に新たなソフトウェアを組み込み、機能を付与する、といったことを得意としてきており、AIの推論アルゴリズムについても、対応ができつつある模様だ。すでにシステムとしては出来上がっており、社内での試験も終えている段階であるとのことで、あと1年程度で主軸の予防保全を実現するソリューションとして製品化にこぎつけたいとしている。

  • 開発中のAIを用いた主軸故障診断ソリューション
  • 開発中のAIを用いた主軸故障診断ソリューション
  • 開発中のAIを用いた主軸故障診断ソリューション。無線LANユニットにAI機能を持たせるという試みで、組み込み分野でのノウハウを有するサイレックスならではの技術といえる