さてiPad Proとともに2018年にまだ更新がかかってないのがiMacとMacBookだ。オールスクリーンのトレンドを考えると、iMacも画面だけが浮いているようなデザインにモデルチェンジしてもさほど驚かないのではないだろうか。

戦略的に重要なのは、低価格ノートブックのMacBookだ。iPadやiMacがキレイに通常モデルとProモデルという2つの展開に整っている中、MacBookシリーズだけが、以下のようなラインアップになっている。

  • MacBook Air(13インチ非Retina)
  • MacBook(12インチRetina)
  • MacBook Pro 13インチ Touch Barなしモデル
  • MacBook Pro 13インチ(Touch Bar付き)
  • MacBook Pro 15インチ(Touch Bar付き)

MacBook Airは999ドルから、MacBookは1,299ドルからという価格にも注目すべきだ。

このうち、上の3つのモデルを1つに統合した、価格を抑えた製品が必要だ、ということを筆者は以前から指摘してきた。

日本でもMacBook Airが価格の面から人気が根強いが、Retinaディスプレイではない点、USB-Cへの移行をしていない点など、既に設計面で古さが目立つことになっている。もっとも、ポート類については、USB-Cでないところが受け入れられている面でもあるかもしれない。

MacBook Airを併売している以上、すぐに手をつけなくても良いのかもしれないが、Macの販売は2018年第3四半期決算で400万台を割り込み、372万台に留まった。前年同期比13%減は、好調なiPhone・iPad・その他の製品の中で足を引っ張っているのは明らかだ。

AppleはMacのプロセッサをIntelに依存しており、Intelのチップ開発の遅れは新型Macの遅れとしてそのまま響いてしまう。特に10nmプロセスで製造されるチップの遅れが、価格を抑えたサブノートの遅れにつながってきた。

AppleがIntel以外のチップを採用するMacの可能性は繰り返し取り沙汰されているが、それを待たずにMacの販売台数のテコ入れとなるような製品が登場するか、注目していきたい。

松村太郎(まつむらたろう)


1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura