住宅ローンの団信には様々な保障(補償)がありますが、自然災害で被災した際のローン返済を支援するタイプもでてきています。既存の火災保険や地震保険と自然災害補償付きの住宅ローンについてチェックしてみましょう。

◆住宅ローンの保障(保障)は多様化する傾向
住宅ローンには返済中に死亡したり、所定の病気になった際に保険金でローンの返済をしたり、返済が免除されるなどの補償がついています。

こうした団体信用生命保険(以下、団信)の補償はこのところ多様化してきており、自然災害で被災した際に住宅ローンの返済をサポートするタイプのものも増えてきています。地球温暖化や気候変動の影響で、日本では自然災害が増えていますがそうしたニーズに応える内容です。

◆住宅ローンについている補償とは?
住宅ローンに付帯している保険とは、団信が一般的ですが、これらは主に本人の死亡や病気(三大疾病など)などの際に返済をカバーしたり、免除したりするものです。

住宅そのものについては、以前は質権設定付きの火災保険への加入が必須となっていました。住宅ローンの返済期間中にその家が自然災害や火災などで全壊・全焼などした場合、支払われる保険金を最初にローンの返済に優先して充当する契約をいいます。

いまではこうした契約はかなり減ってきましたが、金融機関によってはまだ残っています。また質権設定をしないケースであっても、住宅を購入して火災保険に加入しない人はいないでしょう。その意味では、購入した住宅には火災保険(及び場合によっては地震保険まで)で補償がある人がほとんどというのが前提です。

◆自然災害補償付きの住宅ローンとは?
自然災害補償付きの住宅ローンとは対象の物件が被災した際に、一定の期間ローンの返済を免除したり、払い戻すなどのかたちでサポートするタイプの補償です。

◇どんなことが補償される?
この補償を付帯していると、自然災害などで全壊や大規模半壊、半壊などになった際に6回や12回、24回など所定の期間の住宅ローンの支払いが免除されます。もしくは全壊の場合の住宅ローンの50%を免除するものです。

◇住宅ローンへの上乗せ金利はどのくらい?
団信などと同じように補償を増やすことになるので、その分返済する金利に上乗せされます。金融機関によって違いはありますが、おおよそ0.3%~0.5%程度が金利に上乗せされます。

まだまだ疾病保障と比較すると一般的ではありませんが、こうしたものが出始めていることは知っておいてください。

※金融機関によって補償内容や上乗せ金利が違うことがあるのは考慮してください。

◆火災保険、地震保険があればこの補償は不要?
この補償は「住宅ローンの返済」をサポートするものですから、火災保険や地震保険などのように被災した住宅の修復費用に充当するなどの使い方ではありません。

例えば台風や水害、土砂崩れなどで住宅が全壊などした場合、火災保険に加入していれば住宅ローンの返済はこれである程度の目途は立ちます。ただしローンはなくなるものの住む家もなくなります。

預貯金などを食い潰すことになるでしょうし、家を買ったばかりならそんなに預貯金にも余裕はないでしょう。また地震で被災した場合、もともと補償は火災保険の30~50%までしか付帯できません。

地震保険ではローンの返済をカバーしきれないのです。大震災などが起こると、ローンの返済が猶予されるといった特例制度が出されます。しかし猶予は待ってくれるだけで、返済しなくていいわけではありません。

実際に本当に返済不能の状態になったら、自己破産するという選択もあります。しかし自己破産はデメリットもありますし、あと少し支援があって頑張ればというケースではこうした補償は役に立つでしょう。

特に地震災害で住宅ローンの残債がまだ多いときには、補償が不足することが考えられます。自分が保有している予備費を含めたその他の資産や被災後の収入なども考慮して検討してみるといいでしょう。

◆どこの金融機関が取り扱っている?
自然災害補償がついている住宅ローンは、どの銀行でも取り扱いがあるわけではありません。2017年頃から取り扱う金融機関が少し増えてきています。保険会社ではカーディフ生保・カーディフ損保などが取り扱いをしています。

ほとんどの人が聞いたこともない保険会社だと思いますが、カーディフ生保・カーディフ損保は住宅ローンに付帯する保険を中心に展開している保険会社です。個人に直接営業して販売するわけではないので知らなくて当然です。

この保険会社を取り扱っている金融機関には、自然災害補償付きのものがあります。後は個別に銀行などで確認してみてください。同じ保険会社の引き受け契約でも、上乗せ金利も含めて統一されているわけではありません。

◆自然災害付きの住宅ローンのポイント
同じような補償をするものをいくつかの金融機関が取り扱っていますが、微妙に違う部分はあるのでチェックしておくポイントをみておきましょう。

・対象となる災害
・補償される内容や期間
・上乗せ金利
・住宅ローンの借入期間などその他の条件

この補償を基準にして住宅ローンを選ぶということはないでしょうから、ある程度目安をつけた段階で上記の部分などを比較してみるといいでしょう。

2014年7月の地震保険の改定以降、火災保険・地震保険ともに保険料は値上げする方向で改定が続いています。住まいの自然災害に対する補償は下記のような順で考えてください。

1.被災者生活再建支援制度(最大300万円)
2.火災保険(建物、家財)
3.地震保険(建物、家財)
4.自然災害補償付き住宅ローン

住宅購入した場合、自然災害に関わる補償は上記のとおりです。火災保険(建物)は誰でも加入するでしょうが、火災保険(家財)、地震保険(建物、家財)まで加入するかは考え方次第です。

住宅ローンにかかる団信などの保障は、死亡や疾病保障、就業不能、自然災害など多岐に渡ります。あれもこれもつけていたらキリがありませんが、病気や怪我、自然災害などで自分や住まいに何かあったときにどう対応するかは保険ありきでもありません。

途中の見直しなども視野に入れて、色々とプランや対応方法を検討してみてください。

文=平野 敦之(マネーガイド)