YC1系はJR九州初というシステムを搭載した蓄電池搭載型ディーゼルエレクトリック車両(ハイブリッド車両)。駆動システムを従来のエンジン駆動からエンジン発電式モーター駆動に置き換えて二酸化炭素等の排出量や騒音を低減し、ブレーキ時に発生する回生電力を蓄電池に充電させることでエネルギーの有効活用を図った。

  • YC1系は「YC1-1」「YC1-1001」の2両編成

これにより、置換え対象とされる既存の気動車キハ66・67形と比べて燃料消費量を約20%低減したという。蓄電池のアシストによる効率的な走行性能を実現するとともに、電車部品を活用し、気動車に使用していた回転機器などの機械部品を減らすことで、気動車特有の不具合の低減も図る。設計最高速度は110km/hとされた。

YC1系は川崎重工が製造し、車体はステンレス製。形式名に採用された「YC」は開発コンセプトでもある「やさしくて力持ち」のローマ字表記「YASASHIKUTE CHIKARAMOCHI」の頭文字から取った。このローマ字表記は車体にもデザインされている。

  • 蓄電池を搭載したYC1系。形式名の由来でもある「YASASHIKUTE CHIKARAMOCHI」の表記も

  • YC1系の車内。4人掛け・2人掛けのボックスシートも配置されている

定員は232名(座席定員76名)。両開きの片側3ドアとしてスムーズな乗降を可能とし、バリアフリーに配慮して出入口付近の段差をなくした。車内は東側にロングシート、西側にロングシートと4人掛け・2人掛けのボックスシートを配置し、ボックスシートにテーブルも設置した。

YC1系も821系と同様、1人あたりの腰掛座面幅を拡大。室内のダウンライトタイプのLED照明と出入口付近の足もとを照らす照明、スマートドアや4カ国語対応の案内表示器も821系と共通の特徴となる。台車個別制御ブレーキシステムや状態監視システムを搭載し、空調機器・ブレーキ装置等の機器の共通化によるコスト低減も図った。

今回公開された新型車両は、821系が今年2月以降、YC1系が今年6月にそれぞれ九州へ搬入され、動力装置・ブレーキ装置といった搭載機器の性能確認を目的に走行試験を行ってきた。821系は南福岡車両区を拠点とし、福岡・佐賀県内を中心に走行試験を実施。YC1系は佐世保車両センターを拠点とし、長崎県内を中心に走行試験を行っている。走行試験は今年度いっぱい続ける予定。営業投入の具体的な時期や投入線区は現時点で未定とされ、走行試験の結果を踏まえ、検討していくとのことだった。

  • 蓄電池搭載型ディーゼルエレクトリック車両(ハイブリッド車両)YC1系の車内・外観