2018年の新型iPhoneが9月21日に発売された。中でも注目は歴代シリーズ最大となる6.5インチのディスプレイを持つ「iPhone XS Max」だ。

最上位モデルの512GB版は価格も税込で17万円を超えており、高級ノートPCに匹敵する。いったい誰が買うのだろうか。

大画面で見やすく、カメラも進化

6.5インチのスマホと聞くと巨大なボディを想像するが、実際の本体寸法は「iPhone 8 Plus」などといった従来のPlusシリーズとあまり変わっていない。これはディスプレイの占める面積が大きいからで、実は、手に持った感じは従来機と大差ないのだ。

実はPlusシリーズとほぼ同じ大きさの「iPhone XS Max」

大画面のメリットとして、多くの情報を表示できるだけでなく、アプリが対応していれば文字サイズを大きくできる。最近、スマホの文字が見にくいと感じていた人にとって、XS Maxを試してみる価値はありそうだ。

実はPlusシリーズとほぼ同じ大きさの「iPhone XS Max」

スマホが生活の中心になっている人も増えている。たとえば動画の視聴では、リビングに大きなテレビがあっても、ひとりで見るためにスマホを使う人も多い。XS Maxの有機ELディスプレイは黒がしっかり黒く映り、動画をよく見る人に向いている。

カメラの性能が向上したこともポイントだ。アップルが発表イベントにインスタグラマーやユーチューバーを招待したように、(InstagramやYouTubeなどのSNSで活躍する)インフルエンサーはマスメディアを超える影響力を持ちつつある。彼らのようにSNSで情報を発信したい人にとって、重くかさばる一眼レフではなく、肌身離さず持ち歩けるスマホのカメラ性能はますます重要となるだろう。

iPhone XS/XS Maxでは「スマートHDR」で夜景の画質が向上した

iPhone XS世代の「スマートHDR」は4枚の写真を瞬時に1枚に合成することで、前モデルのiPhone Xから夜景写真が確実に良くなった。スマホのカメラはセンサーサイズやレンズに物理的な限界があると思われていたが、画像処理用のプロセッサーや人工知能技術が飛躍的に向上したことで、まだまだ進化の余地があるといえる。

ゲームにも最適、長く使える1台としても

また、iPhone XS世代は「A12 Bionic」プロセッサにより基本性能も大きく向上した。この効果をすぐに感じられるのがゲームだ。スマホの性能向上に伴い、最近はPCで人気のFPS/TPSゲームが移植されており、「PUBGモバイル」や「フォートナイト」、「荒野行動」はApp Storeのランキングでも上位をキープしている。

iPhone XS Maxは「PUBGモバイル」などの3Dゲームにも最適だ

いずれのゲームもCPUやGPU、バッテリーを酷使することで、プレイ中の本体は熱くなりがち。そこでAndroidのスマホメーカー各社は、冷却性能を強化した「ゲーミングスマホ」を相次いで発表している。

これに対してiPhoneは、もともと多くのゲームはiOSに最適化されていた点から、有利な立場にあった。特にiPhone XS世代ではA12 Bionicの処理能力に余裕が感じられ、本体の発熱も控えめであるため、大画面のXS Maxなら「ゲームに勝てる」というのは、分かりやすい訴求ポイントといえるだろう。

新型iPhoneを「買わなくてもいい」というメッセージも

一方でアップルは、新型iPhoneを「買わなくてもいい」というメッセージを発している。iOS 12では既存iPhoneが高速化され、最も古いものでは2013年発売の「iPhone 5s」の動作も軽くなった。ここまで古いスマホのサポートを継続するのは業界でも異例の措置といえる。

背景には、スマホ自体が成熟化してきたことによる買い換えサイクルの長期化というトレンドがある。たしかに1~2年で買い換えることを考えれば、iPhone XS/XS Maxの価格は高すぎるが、3~4年という長いスパンで考えればスマホの選び方は変わってくるはずだ。

国内キャリアでは、KDDIとソフトバンクが端末購入補助の代わりに4年の分割払いプランを提供している。「縛りが強すぎる」との批判もあったが、新型iPhoneのタイミングで同プランに再加入する条件を外し、制限が緩和された。これらのプランを使って2年で端末を交換するオプションは保有しつつ、良いスマホを買って長く使うトレンドは本格化しそうだ。

(山口健太)