劇場版アニメ「若おかみは小学生!」で主人公の関織子の声優を務める小林星蘭さん(左)と高坂希太郎監督

 令丈ヒロ子さんの人気児童文学が原作の劇場版アニメ「若おかみは小学生!」が21日公開される。テレビ東京ほかでテレビアニメも放送中の人気作。劇場版は、2003年公開の「茄子 アンダルシアの夏」以来、約15年ぶりに劇場版アニメを手がける高坂希太郎さんが監督を務める。テレビアニメ版から引き続き、「カルピス」のCMなどで人気子役として活躍する13歳の小林星蘭さんが、主人公の関織子(おっこ)の声優を担当する。高坂監督と小林さんに劇場版の見どころ、演技などについて聞いた。

 ◇一人の少女の成長を描く 表情を豊かに

 「若おかみは小学生!」は、青い鳥文庫(講談社)から出版され、累計発行部数300万部を誇る児童文学。交通事故で両親を亡くし、祖母の温泉旅館・春の屋で暮らすことになった小学6年生のおっこが、ユーレイのウリ坊やライバルの秋野真月に助けられながら、次々とやってくる変わった客をもてなすために毎日奮闘する姿が描かれている。

 高坂監督が劇場版で描こうとしたのは「一人の少女の成長」だった。「映画は時間の制限もあるので、せりふをなるべく削り、表情や動きを見せることで、物語を展開させていく。アニメーションは動いてなんぼのところもありますし」と映像を作り上げた。

 劇場版のおっこは表情豊かで、悲しんだり、喜んだり、言葉では表現が難しいような感情も表情で見せる。小林さんは演技について「元気で前向きだけでなく、落ち込んだり、立ち止まることがある。悲しいのか?苦しいのか?と複雑な感情もありました。表情の変化が細かいので、そこを意識しました」と語る。

 ◇自分を押し殺すような演技

 小林さんは収録前、高坂監督や音響監督の三間雅文さんから演技について「自分を押し殺すようなイメージで」と説明があった。高坂監督は「接客業なので自分らしさを出し過ぎたら成り立たない。成長過程で自分の感情をコントロールしていくところを表現したい」と考えたという。

 小林さんは「意外でした。テレビアニメのおっこは全力でガンガンいく。どうするんだろう? 合っているのかな?とも感じました。おっこは自立していきます。自分がおっこになるくらい入り込み、おっこだったらこうするのかな?と考えました」と役と向き合った。

 おっこは、理不尽にも思える出来事があっても前向きに考え、成長していく。「ご両親が事故で亡くなる……という境遇ですので、入り込むのが難しい。でも、自分とおっこを比べたり、(原作を)何度も読んで考えました。そもそも原作も大好きな作品。せっかく演じさせていただけたので、全力でやるしかない」。小林さんの熱演もあって、キャラクターに深く感情移入できる場面も多い。

 高坂監督は、小林さんの演技を「一人の収録もあったから、重圧だったんじゃないかな? フレキシブルに対応していただきました。言ったことを直ちに形にしていただいたり、勘がいいし、頭の回転が速いんですよね。本当に巧みに演じていただき、舌を巻きました」と絶賛する。

 ◇五感を刺激する表現をきちんと

 テレビアニメ版も美しい背景美術が話題になっているが、劇場版はさらに美しく、丁寧に描かれているようにも見える。食事シーンで食べ物がおいしそうに見えるのも特徴だ。高坂監督は「五感を刺激する表現をきちんと押さえるのは、基本中の基本なんですね。背景は色を極端に鮮やかにしているところもありますが、なるべくリアルにしようとした。リアルにすることで、映画の世界に入りやすくなる効果もあります。リアルに感じていただくことは大切なファクター。意識してやっています。大変ですけどね(笑い)」と説明する。

 美しく、細部までこだわった映像、小林さんの熱演などがあったからこそ、物語の世界に引き込まれ、感情を揺さぶられるような作品に仕上がったのだろう。熱演を見せた小林さんはまだ13歳で、女優としてだけなく、声優としての活躍も期待されている。「アニメは見るのも好きですし、いつか声優をやってみたいと思っていた時に、オーディションに受かったんです。今後もやらせていただきたいです!」と意気込む。小林さんの声優としての活躍もますます注目を集めそうだ。