ドイツ・ベルリンで8月31日から開催された見本市「IFA 2018」では、パナソニックが大型のブースを出展。プレスカンファレンスやブース展示で100周年を振り返った。
いま、こうした見本市では音声操作への対応がトレンドになっており、パナソニックもテレビやエアコンを連携させるデモを披露した。だが、音声の次にやってくるのは、ユーザーがやりたいことを家電が「察してくれる」世界だという。
スマート家電で進む、音声操作への対応
いま、家電の世界ではアマゾンやグーグルが世界に展開する音声アシスタントへの対応が進んでいる。最新家電が並ぶIFAの会場内でも、グーグルは「Googleアシスタント」をアピール。アマゾンは基調講演で「Amazon Alexa」の優位性を語った。
だが、こうした「スマート家電」ごとにスマホのアプリを入れるのは面倒で、使いこなすにはリテラシーも必要だ。そこで、スマホが苦手な人でも使いやすい音声操作が有望になってきたというわけだ。
たとえばスマートスピーカーで音楽を聴いているとき、曲送りをするのに本体やリモコンに手を伸ばすのは億劫だ。だが音声なら、隣の部屋からでも、ソファに寝転がったままでも操作できる。やがて家の中のあらゆるものがつながり、音声で操作できることになりそうだ。
パナソニックもIFA 2018のブース内で、テレビや照明、エアコンを連携させ、音声で操作できるデモを披露している。
だが、音声でラクになるとはいえ、家電を動かす手間はまだまだ残っている。本当にスマートな家電なら、人間のやりたいことを先回りし、勝手に動いてくれるようにならないだろうか。この「少し先の未来」を見据えたのが、パナソニックが開発中のスマートキッチンだ。
パナソニックのスマートキッチンは「察してくれる」
いったいどういう機能を持ったスマートキッチンなのか、パナソニックはホームパーティを想定したデモを披露した。
ローストビーフの下ごしらえでは、食材のカットやオーブン用トレーへの盛り付けを映像で教えてくれる。盛り付けが終わり、両手にトレーを持ってオーブンの前に立つと、自動的に扉が開く仕組みだ。
ローストビーフの様子は庫内のカメラで見ながら、フライパンで別の料理を作り始める。ここでは複数の料理が同時に仕上がるタイミングで加熱される。こうした作業はかなりの集中力が必要なだけに、支援してくれるのはありがたい。
配膳とテーブルを兼ねたワゴンは、リビングまで自走する機能を備えている。テーブルの高さも適度に調整してくれる仕組みだ。タッチや音声でいちいち指示することなく、人間がやりたいことを察して動くのが面白い。
ここまで高度な自動化がなくとも、料理くらいできるという人は多いだろう。だが実際のホームパーティでは、ホストが料理に気を取られ、会話を楽しめないことも起こりがちだ。このスマートキッチンなら、ホストがパーティを楽しむ時間を増やしてくれることは間違いないだろう。
パナソニックはこれから実証実験を進めていくとしており、実際の商品化にはまだまだ時間がかかりそうだ。だがこのスマートキッチンからは、音声の次にやってくる少し先の未来を垣間見ることができた。
(山口健太)