コンカーは9月10日、出張中の従業員へのリスク通知、安全配慮義務を強化する「Concur Locate」の日本市場への提供を開始したほか、「海外出張者の危機管理に関する実態調査」を発表した。

冒頭、コンカー 代表取締役社長の三村真宗氏は「日本は出張中における従業員の危機管理が非常に遅れている。この状況に対してConcur Locateの日本版を正式リリースし、日本のビジネストラベルマネジメントを変えていく」と意気込みを語った。

  • コンカー 代表取締役社長の三村真宗氏

    コンカー 代表取締役社長の三村真宗氏

Concur Locateは、出張管理クラウド「Concur Travel」の機能の一部となり、各国のリスク情報をタイムリーに把握し、出張予定のある従業員や出張者に情報を共有する。出張・経費管理クラウド「SAP Concur」上にある出張申請や旅程情報、また現地での出張者のチェックイン情報、など、さまざまな情報を集約して従業員の所在を特定し、SMSやメールなどの双方向のコミュニケーションで従業員の安否を確認・支援を行うことを可能としている。

  • 「Concur Locate」の概要

    「Concur Locate」の概要

さらに、24時間全世界を対象としたリスクアラートメッセージを配信し、対象者を即時に把握し、自動リストアップを可能としており、対象者に一斉に安否確認を送信した上で返信状況の自動振り分けを行う。

外部サイトで予約してもプロセスとデータはConcur Locateにつながっているため、チケットの詳細や宿泊場所などの予定をスマートフォン上で確認することができる。

  • スマートフォン上では近隣地域のリスクに加え、盗難や女性に対するリスクなどを表示できる

    スマートフォン上では近隣地域のリスクに加え、盗難や女性に対するリスクなどを表示できる

また、Concur Locateに加え、旅程管理は「TripIT Pro」がそれぞれ担い、国内出張の予約は2019年上半期の出荷開始予定で外部の予約サイトと連携する「TrioLink」により、国内外出張の旅程管理、国内出張の予約が可能となり、課題となっていた出張中および国内予約の機能を拡充している。

  • 「Concur Locate」「TripIT Pro」「TrioLink」が加わり、機能が拡充される

    「Concur Locate」「TripIT Pro」「TrioLink」が加わり、機能が拡充される

出張者には多様なリスクが潜在

同社では海外出張者の危機管理に関する実態調査として、全国の出張者310人(年間の海外出張回数が2回以上の会社員・公務員)、出張管理者302人(海外出張者に対する危機管理担当者)を対象にオンライン上でのアンケート調査を5月に実施。

2000年以降、多極化とテロの増加により、リスク予見が困難になっていることに加え、経済のグローバル化の促進に伴い出張先・勤務場所が世界中に拡散し、インターネットの普及による集中管理が90年代と比較して難しくなっているという。

  • 90年代と比較して状況は大きく変わっている

    90年代と比較して状況は大きく変わっている

これらの状況を踏まえ、三村氏は「危機プロセスに重要性は感じているが、プロセスに課題を感じている企業が多く、出張者の危機管理の状況はわかっているものの、できていないのが状況となっており、危機管理に対する意識を変革しなければならない。なぜ、危機管理が困難化と言えば旅程情報と危険情報を把握していないためだ」と強調した。

今後の事業展開

同社ではConcur LocateとTripIT pro、TripLinkにより、日本の企業が抱える課題を解決し、2022年までのConcur Locateは累計248社、TripIT Proは同232社への導入を計画しているという。同氏は「出張管理事業は好調に推移しており、2022年に2017年比12倍の成長、売上高比率4割を目指す」と力を込めていた。

  • Concur LocateとTripIT proの導入計画

    Concur LocateとTripIT proの導入計画

また、SAP Concur Presidentのマイケル・エバハード氏は「日本は重要な市場であり、急速に成長し、われわれ全体の成長ドライバーと位置づけている」と述べた。Cocur Locateの重要性について次のように説明した。

  • SAP Concur Presidentのマイケル・エバハード氏

    SAP Concur Presidentのマイケル・エバハード氏

「多国籍企業は言語、異なるレベルのITインフラを管理しなければならないため、安全配慮義務は複雑だ。新機能は出張時に会社が細かくケアしてくれることに加え、従業員が出張する際に安全を担保するソリューションとなる。安全配慮義務のプロセスを多様性に見合った形で設計する必要があり、れわれはそれを実現することを可能としている」

これまで同社では、日本において近距離出張におけるパートナーシップやビジネスとラベルサービスの拡充、中堅・中小企業向け事業に注力し、パートナーエコシステムを通じてイノベーションを提供している。

同氏は「出張者の安全確保に対するニーズが急増しており、従業員の安全は企業の最優先事項となる。そのため、われわれでは日本企業の出張者の安全確保を支援していく」と、胸を張っていた。