アクサ生命は8月2日、持病を持つ方に向けて医療保険の新商品、『アクサの「一生保障」の医療保険 「スマート・ケア with You」』の発売を開始した。「スマート・ケア with You」の特徴は、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞の重症化や再発を防止するための「ケアコーディネーションプログラム」を提供する点。新商品発売に際し、『人生100年時代の「医療保障」と「健康」』と題した懇談会が開催された。

本稿では懇談会の模様を踏まえつつ、人生100年時代のライフシフトに備えたアクサ生命の戦略的な取り組みと、「スマート・ケア with You」発売の背景についてお伝えしたい。

  • 「スマート・ケア with You」の発売を記念し、懇談会を開催したアクサ生命

少子高齢化により社会構造が大きく変わる日本

人間の寿命は延び続けている。とくに医療制度の発達した日本の平均寿命は世界でもトップクラスであり、2017年には女性が87.26歳、男性が81.09歳と、過去最高を更新した。内閣府による試算によると、今後、人口の3割が高齢者となり、認知症患者は700万人を超えるといわれている。さらに、高齢者人口がピークを迎える2040年には、医療費や介護費は2018年の1.9倍、94.7兆円まで膨らむという。この問題に拍車をかけるのが、未婚率の上昇や出生率の低下だ。

  • アクサ生命は日本の未来像をまとめた動画によって人生100年時代の保険のあり方を問う

国立社会保障・人口問題研究所は、2088年を迎えるころ日本の人口は現在の約半分、6814万人になるだろうと予想している。一方でそのころ世界の人口は110億人を突破するというのが国連の想定だ。社会がこのように変化していく中、100年という一生をどのように生きていくべきだろうか。「商品のあり方を考える前に、人生100年時代における『医療保障』と『健康』のあり方とは何なのかについて考えてみましょう」と、アクサ生命の松田氏は問いかける。

  • アクサ生命 取締役 専務執行役 兼 チーフマーケティングオフィサー 松田貴夫氏

「人生100年時代」を幸せに生きるには

この課題に取り組むにあたり、アクサ生命はまず人生100年時代に対する意識調査を行ったという。「人生100年時代における老後の生活をどのように捉えていますか?」という質問に対しては、およそ2/3の人が悲観的に捉えている。しかも、年齢が若くなればなるほどその比率は上がっていく。

その要因が、平均寿命の延びだ。長生きできることはもちろん喜ばしいことだが、最大の問題は健康で居続けられる期間と健康ではない期間のギャップが広がっていくことにあると松田氏は指摘する。健康でない期間が長く続く人生は、決して幸せとは言い難いからだ。つまり、その不健康な時間をどうやって短くするのかが、人生を素晴らしいものにするための1つ目の目標といえるだろう。

  • 平均寿命が伸びたとしても健康寿命が延びなければ、それは幸せな時間とはいえないだろう

では、健康な体でいられたとしたら、次のリスクはなんだろうか。それは経済的に十分な生活が賄えるかどうかだ。「人生100年時代においてあなたは100歳まで生きたいと思いますか?」という質問では、経済的に備えられている人は42.7%が生きたいと答えているのに対し、備えられていない人では16.9%にまで低下する。その「生きたい」意識の差は、約2.5倍だ。つまり、幸せに100歳まで生きるためには、経済的な備えが欠かせないというのが2つ目の目標となる。松田氏はこのような状況を踏まえ、次のように述べる。

「我々保険会社の使命とは、危機的状態に陥った方に対して、迅速に、保険金・給付金をお支払いすることでした。しかし今後、それだけで健康で経済的に十分な状態が過ごせるのでしょうか。我々が出した答えは"NO"でした」