――最終章になってくると、宇宙を巻き込んでスケールの大きなストーリーになっていきました。こうしたところは最初からわかっていたことだったのでしょうか。
最初の段階では、こうなるとはまったく思っていなかったんです。
――重いストーリーなのですが、キャラクターが生き生きしていて魅力的なので、そのバランスがすごいですよね。番組冒頭のコント的なやりとりも楽しかったです。
あのやりとりも脚本にあるものなんです。でも映像の遊びの部分は、収録時にはどうなるのかわからないので、実際に見た時に「こうなったのか!」と驚きました。キャラクターのコミカルなやりとりと、ストーリーの塩梅は、見ていておもしろいですよね。しかも男のキャラクターが、それぞれみんなかっこよく描かれていて、誰一人霞むことなくキャラクターが立っているんです。
――撮影を通して、俳優・赤楚衛二として影響を受けた人はいますか?
身近なところでいうと、(武田)航平さん(猿渡一海/仮面ライダーグリス役)です。僕の好きなお芝居をされていまして。航平さんも舞台が好きで、自分にちょっと似ているジャンルのお芝居なんだなと感じていました。いろんなアイデアを出して芝居をされているので、そういうところも本当に尊敬しますし、周りも見えていて、気遣いもできる方なので、本当に先輩でもあって兄貴でもある、素敵な方です。
――航平さんとは、現場で以前出演されていた『仮面ライダーキバ』(2008~2009年)の話など出てきたりするのでしょうか。
それはあまりないですね。僕が仮面ライダーを見ていたのは『アギト』から『龍騎』あたりで、それからは習い事を始めた関係で遠ざかっていたんです。航平さんが『キバ』で演じている紅音也は、すごい女好きだけど熱いキャラクターだということはちょっとだけ知っています。見てみたいですね。
――シリーズを通して、特に心に残ったシーン、セリフはありますか。
めちゃくちゃいろいろあるんですけど、第36話「エボルトは星を狩る」でエボルトが戦兎に憑依して、第37話「究極のフェーズ」では万丈が一人で戦うというシーンがありました。あそこは万丈龍我にとって最終回だなと自分の中で思いながら演じていたんです。台本上、最終的には戻ってくるとはわかっていたんですけど、「わかっている」という気持ちでやるような中途半端は嫌だなと思って、本当に最後だという覚悟をもって挑みました。
――みなさんチームとして作品を作られてきて、それぞれに感謝の思いがあると思うのですが、あえて一人、感謝を伝えるとすればどなたでしょう。
田崎竜太監督です。それこそ、『アマゾンズ』の時から1年半以上ずっとご一緒させていただきましたが、『ビルド』でも田崎監督の回はいつも心揺さぶられるエピソードでした。田崎監督が『ビルド』で担当された最後の話(第37話「究極のフェーズ」)は、僕が一番ボロボロになる、変身できなくなる回なんですけど、周りからも「万丈はボロボロだけど、心に響くものがある」と言っていただくことが多かった回になりました。そう言っていただけるよう撮っていただいたのは田崎監督ですし、本当にいろんなところで勉強になったなあって。本当に感謝の気持ちと、またどこかでご一緒させていただけるように頑張りたいです。
――次に田崎監督とご一緒される際は、赤楚さんの成長ぶりに監督もきっと驚かれると思いますよ。
そういうふうになりたいですね(笑)。今回は『アマゾンズ』から2~3か月しかあいていなくて、監督とも「あんまり感動の再会にならなかったね(笑)」という感じだったんです。
――見ている側からすると、『アマゾンズ』の長瀬から『ビルド』への出演は地続きのように感じられたのですが、そこはまったく違っていたんですよね。
「仮面ライダー」シリーズ二連続といったら、みなさん普通そういうイメージをもたれますよね。