坐骨神経痛とはお尻の痛みや太もものしびれなどの症状で、ひどくなると生活にも支障をきたします。坐骨神経痛自体は病名ではないため、痛みの原因になる疾患を調べる必要があります。原因疾患として考えられるものと、適した対処法を解説します

◆坐骨神経痛とは……あらゆる年齢で起こる痛み・病名ではなく症状
坐骨神経痛」(ざこつしんけいつう)という言葉は、テレビや雑誌などにも多く登場するので、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。程度は様々ですが、生活に支障がでるほど症状が重くなるケースもあるため、「坐骨神経痛」を経験した人は、「再発は絶対にイヤだ!」と思うことでしょう。

「坐骨神経痛」はポピュラーな名前ですが、原因となる疾患については意外と知られていないようです。それは、「坐骨神経痛」自体は病気の名前ではなく、症状に付けられた呼び方だからです。今回は、あらゆる年齢で起こりうる「坐骨神経痛」と、関連する疾患についてお話しましょう。

◆お尻が痛い・太ももの裏が痛い症状は坐骨神経痛か
赤色の部分は症状の出る範囲、黄色線が坐骨神経です
「坐骨神経痛で辛くて……」という方に、痛い場所や痛み方を聞いてみると、訴える症状は人それぞれです。「太ももの前側がしびれていて」「ふくらはぎから足の指先まで痛む」「お尻だけが痛む」などなど。そして、症状も「ビビーッと電気が走るような」「いつもピリピリしている」「張りが強くてつっぱった感じがする」など、多種多様な表現があります。これは「坐骨神経痛」の解釈が人それぞれ違うためのようですが、下半身に痛みやしびれ、違和感があるという部分は一致しているようです。

そもそも「坐骨」とは、椅子に座った時に座面に当たる左右のお尻の骨のことです。このお尻の骨辺りに違和感が出ると「坐骨神経痛かな?」と思ったり、太ももの後ろ側、前側関係なく、太もも以下に症状が出れば「坐骨神経痛になってしまった」と考える人もいるようです。

まずは、「坐骨神経痛」と言われる症状の出る部位を確認しておきましょう。図を参照してください。腰部、骨盤部から足の末端にかけて、太くて長い神経があります。これが「坐骨神経」です。これだけ長い神経なので、その途中で何かしらの神経への刺激が加わると、この神経に沿った領域に痛みやしびれの症状が出てしまいます。

坐骨神経は、お尻、太もも裏、ふくらはぎなど体の後面を通っているため、お尻から足の指の範囲に症状が出ることが多いのです。また、坐骨神経は膝の裏辺りで枝分かれしているため、障害を受けている部位によっては、膝より下の外側面辺りに症状を感じることもあります。

◆坐骨神経痛の症状チェック……痛みやしびれの程度
坐骨神経は図でわかるように、とても長い神経です。広範囲に症状を出す可能性があるため、とても重要であることがいえます。この坐骨神経がどの部分で障害されるかにより、症状の出る範囲や症状も違いますが、以下に多くみられるものを挙げてみました。坐骨神経痛がおきている場合、腰部やお尻などに筋肉の緊張がみられるケースも多く、坐骨神経痛に併せて不快な症状を感じる場合もあります。

ほとんどの場合は、片側のお尻や下肢に痛みやしびれが出ますが、両側に症状が出ている場合は早急に病院へ行きましょう。悪化すると肛門周囲へしびれが生じたり、排尿障害になることもあります。

■坐骨神経痛とそれに伴う主な症状
・腰の痛み、お尻の痛み
・お尻、太もも裏、足へかけての痛み、しびれ
・体を動かすと痛みやしびれが悪化する(問題のある部位の状態により、前にかがめない、後ろへ体を反らすことができないなど)
・痛みのため歩行が困難になる
・足に力が入らなくなる
・下半身の筋肉の太さに左右差が出てくる
・座っていられなくなる
・足を触ると感覚が鈍くなっている

◆坐骨神経痛を起こす疾患……考えられる原因・病気
坐骨神経痛自体は疾患の名前ではないため、坐骨神経の痛みが出た場合は、原因になる疾患が何かを調べる必要があります。例えば、転倒した後に足への痛みやしびれを感じるようになった時のように、坐骨神経痛らしき症状が出たきっかけがはっきりしている場合と、ある日突然に痛み出した時のように、原因が自分でもよくわからない場合があります。

心当たりが無い場合は、最近他に体の不調はないかを思い返し、病院で診察を受ける際に医師に伝えましょう。以下に、坐骨神経痛に関わる主な疾患を挙げてみます。

◆椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛
椎間板は、背骨を構成している各骨(椎骨)と骨の間にあります。体への衝撃を吸収するという重要な役割があり、弾力性もあるのですが、この椎間板が負荷によってはみだしてしまうことがあるのです。この時神経が刺激されると、坐骨神経の通っている範囲に症状を出します。

◆脊柱管狭窄症による坐骨神経痛
神経が通っている背骨の中央にあるトンネルが、主に老化により狭くなってしまうことで症状が出ます。しばらく歩いていると、腰の痛み、足の方へ痛みやしびれ、つっぱり感が出るようになり、途中で休まないと足が前に出なくなることもあります。

◆腰椎の分離・すべり症による坐骨神経痛
腰椎の分離症は、腰の骨のある部分が切れてしまい、レントゲンで確認することができます。分離しているからといって、必ずしも腰痛などの症状があるとは限りませんが、問題はこの部分が不安定になった場合です。分離した状態では、切れた部分からその骨が前方へズレるようにすべってしまい、神経が刺激されると坐骨神経痛や脊柱管狭窄症の症状をおこすことになります。

◆梨状筋症候群による坐骨神経痛
お尻にある筋肉の中に梨状筋(りじょうきん)と呼ばれる筋肉があり、坐骨神経はこの筋肉の下を通っています。ところが、スポーツや仕事などで腰や股関節などに負担がかかり続けると、この梨状筋にもストレスが及ぶことがあります。梨状筋の状態が悪くなり、坐骨神経を圧迫してしまうと、坐骨神経痛の症状が現れます。

◆腫瘍による坐骨神経痛の痛みも……まずは整形外科の受診を
また、背骨に癌が転移した場合や、背骨の中央を通っている脊髄の腫瘍により、坐骨神経痛を伴う場合があります。安静にしていても痛みが変わらない、夜間も痛みが続くなど、今までに経験したことのない症状であれば、早めに病院へ行きましょう。

腰の違和感や痛みが続いた後に、坐骨神経に沿った痛みやしびれが出る場合もありますが、「坐骨神経痛かな?」と思ったら、まず整形外科で検査を受けましょう。レントゲンやMRIで腰の状態を確認することができます。悪化させると大変なものもありますので、痛みの我慢し過ぎには、注意してください。

文=檜垣 暁子(カイロプラクティック理学士)