子どもの自殺を防ぐために 周囲の大人が夏休み明け前後にできること


子どもが自殺するピークは8月下旬から

子どもの自殺のピークは夏休み後半あたりといわれます。自殺総合対策推進センターでは「直近10年間の自殺者のピークは8月下旬にある」との調査結果を発表しました。8月下旬から9月上旬にかけては、明らかに他の月とは自殺者数が歴然と違います。小中高生の自殺者が100人を超えるのはこの時期です。

なぜ子どもたちは、この時期に絶望するのでしょうか?また、身近な人たちができることは何でしょうか?

環境の変化はポジティブなものであってもストレスは発生する

子どものみならず、人間というのは環境の変化にストレスを感じます。皆さんも経験があるのではないでしょうか?

例えば時期でいえば、3月の末から4月にかけて、働いている環境が変わったり、進学したりというのは、新たに人間関係を構築したり、今までやらなかったことをするなどして、ストレスに感じることは多いと思います。ネガティブに感じることのみがストレスとも限りません。結婚、昇進といったものも、ストレスとしては日常よりも高いのです。アメリカの社会生理学者 ホームズとレイが考案した、ライフイベントを数値化して計測する方法では、その項目に夫婦の和解やクリスマスまで含まれているのです。

そう考えると、毎日学校に行かなくてよかった夏休みが終わって、毎朝同じ時間に起きて学校に行くという日常に戻ることは、子どもにとってとても大きなストレスと言えるでしょう。

自殺を防ぐために周囲の大人にできる4つのこと

自殺という悲しい人生の結末を「未然」に防ぐために周囲の大人は何ができるでしょう?

1.コミュニケーション

普段からコミュニケーションを取ることです。この時期はこういった記事が増えますが、土壇場の対応よりも、普段からコミュニケーションを取ることが、変化に気づく最良の方法と言えるでしょう。「大丈夫。」という言葉だけで大丈夫としてはいけないのです。

2.同調ではなく共感

「私、聞き上手なんです。」という大人でも、同調と共感の違いを理解していない人は多いです。「あいつムカつく。」という言葉に「あいつムカつくよね。」と相手に乗っかるのは同調です。「あいつにムカついてるんだね。」と相手の感情を感じることが共感です。

3.結論を急がない

これは男の人がやってしまいがちなんですが、「じゃあこうすればいいじゃないか。」と、結論を急いで与えてしまうことです。「何が分かる!?」となってしまう可能性が高いです。

4.協力する

協力できることや協力を求められたときは協力しましょう。

若年層の死因の1位は自殺 目に見えない大切なものを子どもに伝えたい

厚生労働省が発表した自殺対策白書によると、世界保健機関のデータをもとに人口10万人あたりの自殺者の数を比べたところ、約90の国と地域のうち、日本で自殺した人は6番目に多く、さらに若年層の死因の第1位は「自殺」で、これは先進国の中で突出して高い値ということです。

他の国は、事故や病気が多いのに、日本の若者は自殺が死因として突出しているのです。日本の教育は、数値化できるものばかりが求められます。それ以外の目に見えないものを子どもに伝える機会はどれほどあるのでしょうか?

「愛」「友情」「失敗」「勇気」「成長」「美」「善」こういったカタチの無い概念は、誰かとシェアするまでは「主観的(自分の捉え方)」であるしかないのです。

主観的に世界に絶望してしまうなんて、とても悲しいことですよね。大人が概念のシェアをしなければ、子どもがそれを共有することなんてできません。目に見えない大切なことのシェアをすることは、とても大切なことなのです。

(青柳 雅也:心理カウンセラー)