組込みシステム技術協会(JASA)は8月29日、同協会が主催する組込み・IoT総合技術展「Embedded Technology / IoT Technology 2018」についての開催概要を公表。同展示会を、組み込み技術の発展型としての、IoT普及の鍵を握るエッジテクノロジーに関する総合展示会へと進化していくことを目指す方向性を示した。

同展は、IoTの普及の動きに併せて、2015年より組込み総合技術展(Embedded Technology:ET展)と併催という形でIoT総合技術展(IoT Technology:IoT展)を開催してきた。しかし、来場者からは、ETとIoTの2つが並ぶことで、分かりづらさがあるほか、どこに向いた展示会なのか、という疑問の声が挙がっていたという。

実際、近年の出展社ブースの展示内容を見ても、確かにIoTソリューションの紹介が行なわれているのだが、そのターゲットとするところと、実際の来場者とが乖離している様子も見受けられていた。

しかし、ここに来て、IoTを活用しようと思えば、クラウドを活用する、という流れから、リアルタイム処理の要求や、通信パケット量の増加などの問題から、クライアント(エッジ)側にインテリジェント性を持たせて、大規模解析が必要な場合だけクラウドにデータを送る、というエッジコンピューティングの活用に注目が集まるようになってきた。その流れに併せる形で、「組み込み業界としても、この動きには注目する必要がある。ということでETも、IoTの中でも組み込みを含めたエッジテクノロジーの総合展として、エッジを重視しようという流れに乗りつつ、これまでやってきた組み込みに対する取り組みを踏まえ、エッジに関するさまざまな技術にスコープした展示会として訴求していきたいと思っている」(組込みシステム技術協会 ET事業本部長の渡辺博之氏が)と変化していくことを決定したとする。

また、「幸いにも、Embedded Technologyの略称はET。Edge TechnologyもET。元々のETと新しいET。ET(エンベデッドテクノロジー)×ET(エッジテクノロジー)ということを、参加してくれる人たちの頭に残せるような取り組みも行なっていく」(同)とのことで、今回は、主催者側として、2018年のエッジテクノロジーのトレンドを紹介するテーマパビリオンを設置する予定。具体的には、「エッジコンピューティング」、「次世代モビリティ」「エッジAI」という3つのエッジテクノロジーの中でホットな分野を中心に活躍する企業を主催者側が紹介するといった形になるという。

  • ET展の変化の方向性

    エンベデッドテクノロジーとエッジテクノロジー。同じETの略称を持つ2つの技術にフォーカスをあてた展示会へと進化することを目指す

これに併せて、毎年開催してきたカンファレンスも変化。テーマを「クラウドから『インテリジェントエッジ』へ、組み込みの枠を飛び越えて!」とし、上記3つのホットワードに関わるプレーヤーたちが講演を行なうなど、よりエッジを意識したものへと変貌を遂げるとする。

さらに、もう1つの目玉として、IoTの普及により、スタートアップの活動が国内でも活発化してきており、そうしたスタートアップ企業の技術などの紹介を来場者に行い、新たなコラボレーションの創出につなげることを目指す「スタートアップパビリオン」も設置する。国内外から20社ほどの企業がすでに参加することが決定しているとのことで、既存企業とのビジネスマッチングを目指し、5分間でスタートアップ企業が、ビジネスをどう展開していくことを考えているのかを紹介する「Start-upカンファレンス」なども開催する予定としている。

なお、同展示会は2018年11月14日~16日にかけて神奈川県横浜市のパシフィコ横浜にて開催。出展社数は8月29日時点で410社・団体(予定)、来場者数は2万6000名を見込んでいるとしている(入場料は1000円だが、無料招待状持参者ならびに公式Webサイトでの来場事前登録者は無料での入場が可能)。