地球外生命体エボルトの地球侵略を食い止めるべく、桐生戦兎と仲間たちが命を懸けた戦いを挑む連続テレビドラマ『仮面ライダービルド』が、ついに最終回を迎える。その少し前、ビルド、クローズ、グリス、ローグの4大ライダーとエボルトが激闘する直前である、第45話と第46話の中間に位置するストーリーこそが、『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』だ。

そして8月12日に放送された第47話「ゼロ度の炎」では、仮面ライダーグリスとして戦い続けてきた猿渡一海が、ある"結末"を迎えた。第18話「黄金のソルジャー」で登場し、北都のライダーとして戦兎たちと敵対していた一海。彼を"カシラ"と慕う北都三羽ガラスとの絆は、本作屈指の名シーンを生み出した。

やがて戦兎や万丈とともに戦うことを決めた一海。ネットアイドル・みーたんを熱く愛する"オタク"としての一面や、新たに仲間に加わった氷室幻徳/仮面ライダーローグとのコミカルなやりとりなど、コメディ要素も担う"カズミン"として、欠かせないキャラクターになっている。

武田航平(たけだ・こうへい)。1986年生まれ、東京都出身。第14回JUNONスーパーボーイコンテスト審査員特別賞を受賞。2008年『仮面ライダーキバ』で主人公の一人、紅音也/仮面ライダーイクサ・仮面ライダーダークキバ役で出演。NHK 大河ファンタジー『精霊の守り人 最終章』(2018年)などのTVドラマや、園子温監督作品『東京ヴァンパイアホテル』(2017年)など映画に多数出演。人気RPG『FINAL FANTASY12』では、主人公ヴァンの声優を担当した。愛犬はポメラニアンのきびちゃん。撮影:大塚素久(SYASYA)

一海を演じる武田航平は、2008年1月から2009年1月まで放送された平成仮面ライダーシリーズ第9作『仮面ライダーキバ』に出演し、主人公の紅渡(瀬戸康史)の父親・紅音也として、仮面ライダーイクサや仮面ライダーダークキバに変身した(その後『仮面ライダーディケイド』にも紅音也役で出演)。10年の時を経て、ふたたび「仮面ライダー」作品に帰ってきた武田。そして今度は『仮面ライダービルド』で熱い心をもった一海を演じぬいた彼に、一海への思いや、一海が迎えた結末について訊いた。※第47話「ゼロ度の炎」のネタバレを含む箇所があります。未視聴の方はエピソードを見たうえで読むことを強くお勧めします。

――武田さんが撮影に入られたのはいつごろだったのでしょうか。

僕が撮影に入ったのは去年の11月くらいからなので、半年以上にわたって参加させていただきました。

――あらためて、半年以上にわたって演じ続けてきた猿渡一海とは、武田さんにとって、どんなキャラクターでしたか?

一海は"男くさい男"ですが、一方で人に愛される資質をたくさんもっている、魅力的な人間です。僕自身、猿渡一海という人間と似ているなと思うところがあるんです。それは、友達や家族など、周りにいる人を大事にするということ。僕はそのことを両親にずっと教えられてきたので、周りの人を大切に思う一海のキャラクターに共感します。

一海といえば……というところで、例えば、"みーたん(石動美空/演:高田夏帆)が好き"というところが挙げられると思うんですけど、みーたんを見ていたひと時が、みんなで農場で働いていたときの癒やしの時間だったという思い出があって、こうした仲間との絆も含めてみーたんのことが好きなんだと思うんです。結局、ベースにあるのは仲間や家族で、そういうところが魅力的な男ですよね。

不器用なところもあり、三羽ガラスに対しても記憶がないという設定に自分でしているんですけど、それがバレバレ。みんなにわからないように一生懸命バレないようにする姿が愛おしいなと思います。ぶっきらぼうですけれど、ついてきてくれる人がいる。そんな"人たらし"なところも一海なんでしょうね。

――幻徳とのコンビで、「ヒゲ!」「ジャガイモ!」のコミカルなやりとりがおなじみでした。

そうですね。ヒゲとのやりとりは映画でも見どころの1つなので、楽しんでいただけたらうれしいです。幻徳を演じている(水上)剣星さんは、お芝居に長けた方で、プラスあの容姿と声と、役者に必要なものをすべてもっている、とても魅力的な俳優さん。せっかくそういう方と一緒にお芝居ができる機会なので、いろいろチャレンジをしてみようと。

剣星さんだったら、こちらが多少暴れても返してくれる、お芝居の空気を共有してくださる、というふうに思っています。年もほとんど変わらないので、そういった部分でも信頼できる相方になっているのかもしれません。今回の劇場版も、いい感じに2人の"大人の芝居遊び"を見ていただけると思うので、楽しんでほしいです。

――映画では2人と内海とのやりとりがおかしくて、笑ってしまいました。あれは脚本にはない部分もあったように感じたのですが。

実はあそこはアドリブもめちゃくちゃありますね。上堀内(佳寿也)監督は、『キバ』の時から付き合いがあるんですけれど、あの一連の流れもみんなでキャッキャッ笑いながら、「あれやっちゃおう」「一海それいただき!」みたいな感じで作っていきました。ツッコミどころも満載なんですけれど、ただそれもフザけているのではなく、懸命にやった結果そうなっているというのが、一海と幻徳のかわいいところですよね。男はアホだなって(笑)。映画を見るときは、これってもしかしてアドリブで、現場の空気で生まれたシーンなのかなって想像しながら見ていただけたらうれしいですね。