ということで、Ryzen Threadripper 2950Xと2990WXについてのテスト結果をお届けした。

まずRyzen Threadripper 2950Xについて。前世代のRyzen Threadripper 1950XとRyzen 7 1800Xを比較したときには、特にGamingなどで性能差を感じたが、今回はRyzen 7 2700Xとの性能差も非常に小さく、しかも100ドル値段が下がっているということで、非常によい製品に仕上がったと思う。

もちろんRyzen 7 2700Xを超えるGaming性能がある訳ではないので、より高いフレームレートを求めるという話であれば、CPUはRyzen 7 2700Xに留めておき、差額はGPUカードのアップグレードに振ったほうが賢明だ。ゲームをやりながらの配信をスムーズにやりたいとか、筆者みたいに大量の写真の現像とかを考えている人には、Ryzen Threadripper 2950Xはジャストな製品だと思う。

もっとも、これにあわせてRyzen Threadripper 1950Xの値崩れも始まっている。国内でも10万を切ったとかいう話なので、こちらを狙うのもアリかもしれないが。

一方のRyzen Threadripper 2990WX。少なくともGamingにはまったく向かない。というか、Legacy Compatible Modeにすればそれなりの性能にはなるが、そんな使い方するなら、最初からRyzen 7 2700Xを買ったほうがマシである。

Ryzen Threadripper 2990WXは本当にワークステーション向け、というのが相応しい性格であり、性能を引き出せるアプリケーションはかなり限られてくる。少なくとも通常のユーザーにはまるで向かない製品である。

もちろん「逸般の誤家庭」の中には、Ryzen Threadripper 2990WXが適したケースもあるだろうが(たとえばウン千時間分の録画のエンコードとか)、さすがにそれが大多数とは思いにくい。価格的な意味でも消費電力的な意味でも、ワークステーション向けである。

これで、Ryzen G ~ Ryzen 7 ~ Ryzen Threadripper X ~ Ryzen Threadripper WXと、価格も性能も広範囲にわたレンジをカバーする製品ラインナップになったのは非常に喜ばしいことだと思う(しかもこれを実質2種類のダイでカバーしているのがすごい)。Intelが今後投入してくる28コア製品が、果たしてRyzen Threadripper 2990WXに匹敵できる性能を持ち合わせているのかはわからない。だがが、こうした製品をIntelが投入せざるを得なくなったという点でも、Ryzen Threadripper 2990WXの存在価値は大きいだろう。

それにしても、Ryzen Threadripper 2950Xが相対的にハイエンドではなくなっている、というあたりは恐ろしいものがある。16コアが当たり前、という時代ももうしばらくするとやってくるのかもしれない。