テレビシリーズが最終回に向けて大きな盛り上がりを見せている特撮ドラマ『仮面ライダービルド』。その一つの集大成となる映画『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』では、テレビでは見られない仮面ライダービルド/桐生戦兎の"知られざる戦い"が描かれる。

東都、西都、北都という3つの首都が繰り広げてきた"戦争"が終わり、パンドラタワーに新政府が樹立。3つの首都にはこれまでの首相に代わって、それぞれ「知事」が置かれ、平和のための新体制が確立された――はずだった。だがそれは、仮面ライダービルド/桐生戦兎を撲滅するための、隠された真実につながる完璧なる計画だった……。

今回はインタビューに、『劇場版 仮面ライダービルド Be The One』の上堀内佳寿也監督が登場。

昨年『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』では『仮面ライダーエグゼイド』と『仮面ライダービルド』の世界をつなぎ、さらに歴代の"レジェンドライダー"たちを絡ませて、熱い"ヒーロー集結"の物語を作り上げた俊英・上堀内監督に、今回の劇場版のポイント、作品作りにかける思いを尋ねた。

  • 上堀内佳寿也(かみほりうち・かずや)。1986年生まれ、鹿児島県出身。『仮面ライダーキバ』(2008年)より仮面ライダーシリーズの助監督を務め、Vシネマ『ゴーストRE:BIRTH 仮面ライダースペクター』(2017年)で長編作品の監督デビューを果たす。テレビでは『仮面ライダーエグゼイド』(2016年)の第31、32、39、40話を手がけ、続く『仮面ライダービルド』(2017年)でもローテーション監督として活躍する。『劇場版 仮面ライダービルド Be The One』は、『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』(2017年)に続く、2作目の劇場映画作品となる。撮影:大塚素久(SYASYA)

――まずは、劇場映画初監督作品となった『平成ジェネレーションズFINAL』が大ヒットを収めたことについてのご感想からお願いできますでしょうか。

初映画があれでよかった、と思う一方で、個人的にはやはり企画そのものと出てくれたレジェンドライダー、ビルド、エグゼイドの面々に助けられたと思っているんです。もとの企画がいい分、ヘンな話ですが、僕じゃなくても当たった作品だという思いもあったりします。監督のオファーをいただいたときのことを思い出すと、「これはかなりの覚悟を決めて取り組まないとヤバいぞ」という感じでした。何しろ与えられたものが重すぎて。単純に、僕自身が観てみたくなるような企画でしたからね(笑)。

――オーズ、フォーゼ、鎧武、ゴースト、エグゼイド、ビルドの6人が、それぞれのバイクに乗って同一画面に収まったところなどは、ヒーロー集結のカタルシスに満ちた最高のシーンでしたね。

近年、いろいろな都合でライダーがバイクに乗ってくる描写が減ってきているところがあるんです。でも、やはりあの映画ではライダーの原点に還りたいと思って、バイクに乗るシーンを入れたいとずっと思っていました。高橋(一浩)プロデューサーと脚本の打ち合わせをやっているころ、わりと最初のときから「何をやりたいですか?」と言われていたこともあって「とにかく、これだけのライダーが出るんだったら、全員バイクに乗せて走らせたい」という案を出しました。それを脚本のお2人(武藤将吾氏、高橋悠也氏)が組み込んでくださり、あの画が実現したんです。あとは、ただ映像として6人ライダーがバイクで走ってくるだけじゃなくて、彼らが力を合わせているところをどれだけ壮大に見せることができるか、というのがポイントだと思っていました。

――映画の感想をSNSでつぶやかれているファンの方たちも、あのライダーマシン大集合には感激されたという声が多かったようです。

ありがたかったのは、例えば『仮面ライダーオーズ/000』までは観ていたけれど、それ以降観なくなった人たち、またその逆で近年のライダーしか観たことのない人たちが「他の仮面ライダーの作品も観てみようかな」と話していたことですね。本当にたくさん、そんな話を聞きましたから。だからこういう(レジェンドライダー)企画があって、ヒーローの帰還をちゃんとお見せするということは、今だけではない、今後の仮面ライダー全体へつながっていくんだなあと、痛感しました。