天才物理学者・桐生戦兎と仲間たちが"愛と平和"のために巨悪と戦う物語『仮面ライダービルド』の物語も、いよいよクライマックス。現在、『ビルド』の集大成ともいえる映画『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』が公開されている。

今回は、戦兎や万丈をサポートするフリージャーナリスト・滝川紗羽を演じた滝裕可里にインタビューを実施。独自のネットワークで情報を収集するミステリアスな美女として、時に物語をかき乱す存在でもあった紗羽を華麗に演じあげた彼女に、『ビルド』という作品にかける熱意や、共演者と育んだ深い"絆"、そして劇場版への意気込みを訊いた。

  • 滝裕可里(たき・ゆかり)。1987年生まれ、大阪府出身。NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』など、多くのドラマ、映画に出演。『仮面ライダーW RETURNS 仮面ライダーアクセル』(2011年)の葛木葵役、『宇宙刑事ギャバンTHE MOVIE』(2012年)の河合衣月役、そして円谷プロの『ウルトラマンギンガS』でのアリサ隊員役など、特撮作品の出演も多い。『仮面ライダービルド』では、桐生戦兎をサポートするフリージャーナリスト・滝川紗羽役でレギュラー出演している。撮影:大塚素久(SYASYA)

――昨年9月の放送開始より、もうすぐ1年が経とうとしています。最終回を前にして、「仮面ライダービルド」で紗羽を演じてきた1年間を振り返ってのご感想からお願いします。

私は、これまでにも何度か特撮作品に出演させていただいたことがあって、ファンのみなさんは過去の役名で印象付けてくださっているところがあるんですね。『ビルド』が始まったときは、「『ウルトラマンギンガS』のアリサ隊員がライダーに出てる!」とか、「(NHK朝ドラ)『べっぴんさん』の悦子さんが!」とか、そういう風に言われることが多かったんです。

でもその分、「紗羽さん」としてまだ認識されていないなって、最初のころに感じていました。『ビルド』での紗羽は主人公の「サポート」役であり、時には「ワル」の側に立っていましたし、子どもたちにこの人はどういうキャラクターなのかと認識されるまで、時間のかかる役どころだったのかもしれません。悪者か、戦兎の仲間か、視聴者の方も紗羽をどういう人物としてとらえていいか、わからなかった時期があったんじゃないでしょうか。

――紗羽が難波重工のスパイだったとわかる第11話「燃えろドラゴン」が放送されたのと時期を同じくして、映画『平成ジェネレーションズFINAL』の完成披露舞台あいさつに出られたとき、滝さんご自身も微妙な雰囲気を察知されていた印象ですね。

そうなんですよ~(笑)。そういう、紗羽というキャラのつかめなさをTwitterのコメントなどで読んでいましたから。でも、二度目の裏切り(第27話)を経て、紗羽のストーリーを追いかけることができたとき、ようやくみなさんに受け入れてもらえた印象がありました。他のドラマやCMを見ても、「紗羽さんが○○に出てる」って、最近になって言ってもらえるようになったんです。こういうところ、1年間の月日の流れを実感しますね。

――最初にすごい裏切り方をして、改心したと思ったら……というように、中盤までの紗羽は仲間との接し方が複雑だっただけに、結束が固まってからは本当に強い信頼関係で結ばれているようですね。

退場フラグが2度ほど立ちましたね(笑)。やっぱり紗羽が「スパイ」だとわかった時と、その後「難波チルドレン」だったことが判明した時は精神的にキツいものを感じました。こういった紗羽の過去については、台本を読んで初めて知ったんです。ストーリー上では戦兎を裏切っていながら、自分が戦兎たちと一緒にいる、というのがとても苦しかった。たぶん、紗羽の気持ちと自分の気持ちがリンクしていたのだと思います。