投資で儲けようと夢中になるのはけっこうですが、あまりに便利なスマホの普及で、ひんぱんにマーケット(株価や為替)に気を奪われている人が増えています

◆スマホは便利だが……
いま、都会の電車の中では、ほとんどの人がスマートフォンを見ています。ニュースをチェックしている人、動画を観ている人、音楽を楽しんでいる人、小説を読んでいる人とさまざまです。もしかしたら、この記事も電車の中でスマホで読んでいるのかもしれませんね。

スマホは便利です。いつでもインターネットにつながれるので、最新のデータを画像付きで、しかも無料で入手できます。私が、特に気がつくのは、スマホで株価をチェックしている人が増えたことです。1日に何回も日々の値動きをチャートで追いかけています。

◆便利すぎて、勘違いしてしまう
株価情報に瞬時にアクセスできる環境は、素人さんを株価アナリストに変身させます。チャートの読み方や、投資のイロハも勉強したことがない人でも、チャートから株価の動きを説明し、未来の動きを予測できると思ってしまいます。

そうして、客観的な根拠もなく、期待と思い込みで、株のトレードに走ります。これでは、投資弱者を作ってしまうばかり。ゲームセンターでチャンピオンになった若者が、いきなりプロの格闘場に放り込まれたような結果と相成ります。スマホは、こうして投資弱者を作ってしまうことと、もう一つの悪影響があります。それは、本業の手抜きです。

◆投資ばかりか本業をむしばむ
身体の一部となったモバイル端末は、人の注意をいつも引きます。低い方へ、安楽な方へ、安直な方へ、人のエネルギーを引っ張るのです。むずかしいことを思考したり、自問自答したりするよりも、簡単に時間をつぶせる方に、人を導くのです。それをリラックスというかもしれませんが、実はそれは怠慢であり、ストレスの増幅です。

仕事というのは、そのことを思い詰めて詰めてやっと花開くもの。そのことばかり思い続けたあげくに、ようやく一人前の結果が得られるものです。だから、その集中を阻害するものに依存していたら、それは間違いなく怠慢です。

仕事の集中や思考の葛藤から逃げることを習慣としてしまったら、それこそストレスを増幅させることになりかねません(”やらねばならない、でもできな~い”みたいな)。スマホ依存が仕事の時間を虫食いにしてしまうとしたら、投資の原資である給料すら奪いかねません(降格や失業)。これは怖いことです。

◆チャートなしで投資するカリスマたち
投資するときにチャートをチェックするって、そもそも必要なのでしょうか? 昔は、チャートなんて会社四季報か証券会社でしか見れず、それでも投資は行われてきました。チャートを見ないと投資できないと考えるのも思い込みですが、チャートを見れば勝てる気になるのも独りよがりです。本当に大事なことは、歴史と理論を学ぶことです。

世界一の大投資家であるウォーレン・バフェットの執務室にはパソコンが置いていないと聞いたことがあります。バフェットは、会社の財務報告書や業界レポートなど、だれでも入手できる一般的なペーパー資料から、割安で有望な企業を探し出して大成功しました。投資タイミングにも神経質にならず、10年間株式市場が閉鎖されていても心配ないような銘柄だけを保有していたといいます。小さな波は無視して、大きな時代の流れに乗る投資とは、そういうことなのでしょう。

冒険投資家のジム・ロジャーズは、人生で投資したのは26回しかないと告白しています。ほとんどの時間は、思索と調査に当てて、マーケットのメガ・トレンドを待っているのです。

毎日せわしく株価をチェックする投資家もいれば、そんなことまったく無頓着に人生の重大事に集中している投資家もいる。さて、あなたはどちらの投資家になりたいですか?

文=北川 邦弘(マネーガイド)