地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の2017年平均の大気中濃度は過去最高だった、とする報告書を米海洋大気局(NOAA)がこのほど公表した。報告書は地球表面温度や海面も上昇している、と指摘するなど、温暖化が現実に進んでいるデータを示している。

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    画像1 世界中の猛暑の日数。折れ線グラフは長期的に増加傾向にあることを示している(NOAA提供)

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    画像2 「STATE OF THE CLIMATE IN 2017」と題したNOAAの報告書の表紙(NOAA提供)

「STATE OF THE CLIMATE IN 2017」と題した報告書によると、CO2の17年平均の大気中濃度は405ppm(1ppmは100万分の1)で、記録が残る過去38年で最高だった。陸上と海洋を合わせた地球表面の17年の年平均温度は1981~2010年の平均を0.43度前後上回った。また、17年の世界の海面水位の平均値は1993年と比べて7.7センチ高かった。世界の海面水位は10年ごとに平均3.1センチ上昇しているという。

報告書はこのほか、北極最大の海氷の17年9月の面積は、記録に残っているデータの平均値より25%小さかったことや、南極大陸の17年3月の海氷面積は210万平方キロメートルまで減少して1978年に始まった衛星による記録上最小になったことなどをデータで示した。2017年の熱帯低気圧の総数は85を数え、1981年から2010年の平均82を上回ったという。

地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」は気温上昇を2度未満に抑えるとの長期目標を掲げている。この目標を達成するためには、CO2濃度を世界平均で420ppm程度に抑える必要があると指摘されている。

世界気象機関(WMO)はCO2の15年平均の大気中濃度が「危険水準濃度」とされる400ppmになり過去最高を更新したと2016年10月に発表している。今回のNOAAの報告書はその後もCO2の大気中濃度が確実に高くなっていることを示した。

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