各分野のプロフェッショナルと一緒に働き方を考えるイベント「マイナビニュース トークラウンジ」が新宿ミライナで7月30日に開催された。今回の登壇者は、ファッションデザイナーであり経営者でもある、ハヤカワ五味さん。ビジネスパーソンに対し、これまでの自身の経験をもとに考えた「やらなくていい7つのこと」を語った。

  • 新宿ミライナで開催された「マイナビニュース トークラウンジ」

やりたいことのための「やらなくていい7つのこと」

今回のトークテーマは「やらなくていい7つのこと」。やらなくていいことをピックアップした理由について、ハヤカワさんは次のように説明する。

  • ランジェリーブランド「feast(フィースト)」、ワンピースブランド「ダブルチャカ」、「ラフォーレ原宿 LAVISHOP」等を運営する、株式会社ウツワ 代表取締役のハヤカワ五味さん。服という”纏う哲学”についてと、”透明な売上を立てる経営”を日々考えている

  • 司会・進行役を務めたのは、ライター・カメラマンとして活躍している山田井ユウキ氏

「"こうした方がいい"という内容は世間で色々と話されていますが、やれない罪悪感が大きかったりするものです。"やらなければならない"という罪悪感でしんどくなるよりは、やらないことを決めて、そのぶんやりたいことに時間を割いた方が良いと思いました」

  • 今回のテーマはやるべき7つのことではなく「やらなくていい7つのこと」

続いて「やらなくていい7つのこと」の内容をそれぞれ説明していく。

1つ目は「人を否定しない」こと。何かの意見に対し"ノー"といえば、あたかも意見を持っているようにふるまえる。しかし、人を否定することで楽に過ごすのではなく、ちょっと遠回りしてでも自分の意見として言ってみることが大事だという。意見と意見が全く正反対で白/黒を争うような場は少なく、多くの場合はグレーであり、どのような意図で白もしくは黒を選んでいるかが重要、というのがハヤカワさんの考え方だ。

2つ目は「自分から会いに行かない」こと。ハヤカワさんがプライベートで自分から会いたいと望んで会いに行く相手とは、自分よりも大きな相手だという。相手から呼ばれたという事は自分が相手に対してバリューを発揮できるということなので、そのタイミングを待つようにしているのだという。

3つ目は「決めつけない」こと。「決めつけ」も「人を否定しない」と同じで、考える手間を省いて楽をする行為だと説明する。「痩せていることはいいことだ」のような当たり前に世の中にある価値観も、あえて疑ってかかることで他の人に見えていないものが見えるかもしれないという。また、人のやっていないことをやるか、人がやりたがらないことをやるのが、お金を稼ぐ方法という言葉がある。「常識を疑うのは結構大変なのでやりたがる人は少ないからこそ、やる価値がある」とハヤカワさんは語る。

4つ目は「ダサいと思ったことはやらない」こと。これは、具体的には「経営者としてダサいと思われることはしない」という意味だという。すでに「ハヤカワ五味」という名前は一定の価値を持っている。商売のためであっても、その「ハヤカワ五味」像にそぐわない行動をしてしまうと、結果的にブランドの価値を下げてしまうのだという。

5つ目は、とくに意識しているという「同じ人とばかり会わない」こと。気の置けない友人のグループは心地よく大事だが、それだけが世界の常識になってしまうことは危険だとハヤカワさんは述べる。同じ人たちとばかり会っていると、そのグループの価値観がいつの間にか普通ではないけど普通だと感じる価値観にすり替わってしまうという。

6つ目は「イヤだと思う時間を過ごさない」こと。これは、なんとなく過ごす時間がいかに無駄かという話だ。学生時代の嫌な授業を例に挙げ「内容は1ミクロンも覚えていない」と語る。興味のないものは、時間を使って取り組んでも、結局得るものは少ない。このような無駄な時間を切り捨てていく勇気を持つべきと述べる。

7つ目は「勝てない戦はしない」こと。ハヤカワさんはすでにそれなりの成功者として世間からは捉えられている空気感がある。とはいえ、成功続きだったわけではなく、それなりの失敗も経験している。だが失敗が話題にならないのは、そもそも大きな失敗をする前に手を引いているからだ。これはまさに「損切り」の考え方といえるだろう。「多少負けても良いのですが、復帰できなくなるまで負けないことが大事」とハヤカワさんは語る。

人狼から学んだ「半確定」の考え方

本イベントでは、来場者からの質問を匿名で集められるサービス「Sli.do」を利用して、開場時から質問を募集するという試みが行われていた。会場ではスマートフォンなどから多くの質問が投げかけられた。

  • 「Sli.do」を利用して会場内で受け付けられていた質問。匿名で投稿できるため、数多くの質問が並んでいた

「友達になりたいなって人はどんな人ですか? 」という質問に対しては、「自分が考えていないことを考えている人。具体的に最近に友達になったのは女流棋士の子や、小説家の人です。私はゲームという共通項でコミュニティを見つけやすいので、そこから広げています」と回答。

また「見た目の決めつけをどうやって回避しますか?? 」という問いには、「何がそうさせているかに考えを巡らせることが重要です。見た目から何かを判断するのも間違いではないと思っていますが、それはあくまで半確定、グレーな状態だと思っています。ここで決めつけないことが大事だと思います。私は「人狼」というゲームで、半確定という判断の重要さを学びました」と答えた。

今回の「マイナビニューストークラウンジ」では、22歳で経営者として活躍しているハヤカワ五味さんに持論を伺った。若くして企業を立ち上げ、組織のトップとしての考え方を身につけているハヤカワさんの価値観は、ファンはもちろん、ビジネスパーソンや起業を目指す方の参考にもなったことだろう。