10年以上におよぶ設備稼働に関するノウハウをソフト化

村田製作所(ムラタ)は、7月18日~20日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている生産設備から社会インフラ、各種災害対策まで「メンテナンス」「レジリエンス」に関する最新の製品・技術・サービスが一堂に介する展示会「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2018」において、自社の生産性向上ソリューション「m-FLIP」とSCSKのITフルラインサービスを組み合わせたサービスの紹介などを行なっている。

m-FLIPは、ムラタが社内で10年以上利用してきた設備稼動の見える化ソフトウェアを、他の製造業でも活用できるようにしたもの。工場内の設備稼動データを収集し、設備の非稼動要因を見える化するソリューションで、ベースとなるソフトについては、ムラタの20以上の生産拠点で活用されてきた実績を有するという。

  • m-FLIPのデモの様子

    m-FLIPのデモの様子。下の白い箱状のものは設備のコントローラであり、ソリューションの核は、その上のモニタに表示されている各種データとなる

ムラタとSCSKの役割分担は、ムラタがm-FLIPの導入に関する支援ならびに、導入後のデータ活用支援サービスを、SCSKが実際の販売を含めたインテグレーションサービスの提供を、それぞれ担当する。同サービスの特徴の1つが、ムラタの熟練した現場経験者による実践的な分析レポーティングサービスの提供。これを活用することで、チョコ停などの原因の分析がムラタの有する知見のもとにできるようになり、工場の稼働率向上などを図ることができるようになる。

  • m-FLIPの運用画面

    m-FLIPの運用画面の1つ。このグラフの場合、稼動していなかった要因が圧倒的にチョコ停止であることが分かる。こうしたデータを元に、村田製作所の熟練者たちによる改善に向けたレポーティングなどが作成され、カスタマは生産性向上にそれを活用することができるようになる

同サービスの販売開始は2018年9月1日からが予定されているが、スマート・ファクトリ・オートメーション分野を中心に複数社から、先行してトライアル導入をしたいという相談も受けているとのことであった。

BLEメッシュネットワークでヒトやモノの居場所を検知

また同社ブースでは、Bluetooth Low Energy(BLE)の電波を利用し、小型の発信器・受信器、専用Gateway、屋内測位向けクラウドシステムで構成されるヒトやモノ向けの屋内測位システム「OWLiQ tracking(オウリック・トラッキング)」の紹介も行なっている。

同システムは、BLEのメッシュネットワークを活用して、BLEビーコンがどこにいるかを把握することを可能とするソリューション。ネットワークを活用して、屋内のどこに誰がいるか、といったことを可能とするソリューションはすでに多く存在するが、同ソリューションの特徴は、その設置の手軽さと、低消費電力性能の高さ。BLEメッシュネットワークを構成する受信機はUSB電源で動作するため、電源に挿すだけで、即座にメッシュネットワークを構築することができる。

また、ビーコン(BLEタグ)は、CR2032(ボタン電池)1つで動作し、1秒間隔の送信時で1年間。10秒間隔での送信の場合、最長8年間の動作が可能だとする。

  • OWLiQ trackingのデモ

    OWLiQ trackingのタグ(中央)と受信機(左)。タグはボタン電池1つで1年以上の動作が可能

  • OWLiQ trackingの受信機

    受信機はUSB電源のコネクタに差し込むだけですぐに稼動を開始、ネットワークに組み込まれる

さらに、同社の屋内測位向けクラウドシステム「SyCloud(サイクラウド)」にて算出された位置情報はWeb APIとして提供され、カスタマはそれを活用してフロアレイアウトデータなどと組み合わせた表示の仕方が可能なほか、受信機やビーコンのバッテリ残量チェック、どこの受信機の近くにビーコンが居るのか、といったことなども調べられるサンプルコードも提供されるという。

  • OWLiQ trackingのデモ

    Web APIとして、位置情報データが提供されるので、それを元にWebアプリを構築することで、どのタグがどこにいるのか、といったことを見える化することができるようになる

現状では、工場内における台車や工具、部品などにビーコンを付けて場所を測位したり、作業員に取り付けて動線分析を行なう、といったことが想定されているとのことだが、今後は今回の展示会も含めて、カスタマなどからのニーズの吸い上げを進め、新たな用途開拓などを図って行きたいとしていた。