富士通は7月9日、自治体職員の働き方改革に向けたソリューション・サービス提供の一環として、和歌山県、大阪府と共同で、RPA(Robotic Process Automation)ツール「FUJITSU Software Interdevelop Axelute(インターディベロップ アクセリュート)」などを活用し、行政事務を効率化する実証を2018年1月から開始し、主にシステム化されていない業務領域において、その有効性を検証したと発表した。

和歌山県では、2017年に全庁で経費削減や業務効率向上、セキュリティ対策の標準化を推進するため、共通基盤システムを整備し、デジタル技術の活用を検討し、大阪府では2016年から働き方改革に取り組み、仕事の手間に潜むムダ、制約のある働き方、若手職員の知識や経験不足などの課題解決に向けた検討を行ってきたという。

同社は、2018年1月から和歌山県と、2018年3月から大阪府とそれぞれ共同で、EXCEL(などの一般OAソフトウェア)や省庁・外部機関が提供するWebサイトデータをもとに手作業で調査・作成している統計調査業務や大量に一斉通知を行う作業など、効率化できる業務を検討し、RPAの有効性について実証した。

  • 実証手順イメージ

    実証手順イメージ

和歌山県では、市町村課が総務省から年間100種以上依頼される統計調査・報告作業のうち、他の業務にも応用できる汎用性の高い部分にRPAを適用し、総務省の指定フォーマットの項目に合わせて入力し、集計する作業を自動化。税務課が毎月WEB上の検索サービスから取得した官報情報を指定フォーマットに入力し、県税事務所へメールで送信する一連の作業の自動化と、県税システムから出力される最新の滞納者情報を進行管理表に入力・更新し、同表を常に最新の状態に保つ作業を自動化した。また、調査統計課が毎月勤労統計調査オンラインシステムから取得する県内事業所のデータを利用して、和歌山県の調査結果速報の統計表を作成する作業を自動化。

大阪府では企画厚生課が毎月各部局に報告する時間外実績集計資料を作成する業務において、所属ごとの時間外実績データをEXCELマクロで集計し、手作業で報告資料へ貼り付ける繰り返し作業を自動化し、支援教育課が支援学校各校への予算配当等の通知業務において、通知書の金額等の自動入力およびメール発送作業を自動化。医療対策課では毎月厚生労働省へ報告する府内43市町村の予防接種実施状況調査に関する集計業務において、同省の定める報告書様式(EXCEL)に合わせて作成する作業を自動化した。

一連の実証により、和歌山県では県庁のネットワーク環境でRPAが正しく稼働することを確認し、各省庁への報告資料作成や、都道府県が独自で実施している統計関係の資料作成、各種関係機関への一斉通知書作成、庁内の調査・集計作業など、様々な所属、業務でRPAを活用し、職員の作業負担を大幅に軽減し、作業ミス防止に寄与できることを確認できたという。

一方、大阪府では2018年8月まで実証を継続し、同様に職員負荷の軽減の実証を行うとともに、RPAツールに記録させたロボット操作をEXCELに出力し、人事異動時などの業務引継ぎ書としての活用に向けたRPAツールの副次的効果についても実証を行う方針だ。