コインチェックで売買されていた「匿名性が高い仮想通貨」の取り扱いがついに廃止となりました。その背景や法規制の内容を解説します

◆匿名性の高い仮想通貨とは?どんな種類がある?
通常、ビットコインなど多くの仮想通貨の取引は、ブロックチェーン上に記録され世界中に公開されていますが、その記録が公になりにくい仮想通貨を「匿名性の高い仮想通貨」と呼びます。

企業間取引、国家・権力者などの取引において、情報漏洩を防ぎたい、匿名性を保ちたいという者同士で使われることの多い仮想通貨です。

「ダッシュ」「モネロ」「ジーキャッシュ」などが主な匿名性仮想通貨で、それぞれが独自の技術で匿名性取引を提供しています。

◆コインチェックも「匿名性の高い仮想通貨」の取扱廃止を発表
日本で上記3種のコインを取り扱う取引所はコインチェックだけでしたが、先日「アンチマネーロンダリング」を徹底できないという理由により、コインチェックもこの3コインの取扱廃止を発表しました。コインチェックが金融庁に事業者登録されないのは、匿名性コインの取り扱いが原因との憶測がありましたが、それを裏付ける形です。

また、金融庁は仮想通貨の事業者登録済の6事業所に「資金洗浄(マネーロンダリング)とテロ資金供与」に対する対策が不十分であるとの理由から業務改善命令を出しました。

登録済事業所はユーザーの本人確認を徹底しており、匿名性のあるコインでも売買が行われれば本人情報を確認できる仕組みになっています。

匿名性コインがアンチマネーロンダリングを徹底できないということは、取引所への入金前のコイン履歴や出金後の履歴も追跡可能としなければならないということになり、匿名性を守りたい取引は不可能になりかねません。

◆アメリカでの匿名性の高いコインの現状
一方、アメリカの仮想通貨取引所ジェミニでは「ジーキャッシュ」の取扱が認められました。ジェミニはニューヨーク州で仮想通貨事業者ライセンス取得しており、州当局との話し合いの上で取扱許可を受けたとのこと。ジェミニの声明の中には「プライバシーは基本的な人権である」という一文があり、州当局もその理念を共有し許可を与えたことになります。

アメリカでも、匿名性の強い仮想通貨の取扱は禁止になるのではないかという憶測が流れていましたが、「個人」を尊重するアメリカという国の価値観はプライバシー侵害を許しませんでした。

現在の日本での仮想通貨規制の方向性は、国家の監視の助長やプライバシーの侵害といった個人の権利にまで踏み込む危険があること、中央管理者によらないボーダーレスな通貨という仮想通貨本来の意義も薄くしてしまう危惧があります。

犯罪抑止とプライバシー侵害の問題は、今後も数多くの議論を重ねていかなければならない課題だといえます。

文=田代 昌之(マネーガイド)