こだわりは時として固定観念となり、新しいものの見方や考え方を受け入れられなくなる原因となります。自分の成長を止めず、新しい考え方や、自分の新しい可能性を見出そうという人にとっては、こだわりは捨てたほうが好ましいと私は考えています

◆こだわりからの脱出で、金持ち体質に!
こだわりが強い人は、自分なりの考え方が確立していたり、他人の意見になびかないという意味で、評価されることが少なくありません。

しかし、こだわりは時として固定観念となり、新しいものの見方や考え方を受け入れられなくなる原因となります。自分の成長を止めず、新しい考え方や、自分の新しい可能性を見出そうという人にとっては、こだわりは捨てたほうが好ましいと私は考えています。

たとえば「優先席には絶対に座らないようにしている」というこだわりを持つと、「優先席は席を譲るべきだが、そうでなければ譲らなくてもいい」という発想になりがちです。しかし、そもそも優先席であろうとなかろうと、お年寄りや妊娠している女性がいれば席を譲るのが親切なわけで、電車もバスもすべてが優先席だと考えれば、誰でもどこでも座って良い、と柔軟に考えることができます。

わかりやすく極端な例を紹介しましたが、自分の考え方にこだわりすぎると、そういう本質的なところに考えがいたらなくなるのです。

私も仕事上、「自分の専門は不動産投資である」というこだわりを捨てたことで、様々なテーマの書籍の執筆や講演の話が集まるようになりました。また、長い賃貸生活と引っ越しの繰り返しで、「しばらく住めばどこでも慣れる」ということがわかってからは、場所へのこだわりが消えました。

◆ブランドエリアに住んでも楽しいのは最初だけ
ブランドエリアに住んでもタワーマンションに住んでも、うれしいのは最初の頃だけで、すぐに日常となって感動は薄れるものです。だから私は、年収が1000万円を超えても家賃8万5000円の木造アパートに住んでいましたし、今でも、家賃13万5000円のマンションに住んでいます。そのおかげで固定費の割合が下がり、別の用途にお金を使うことができます。

そういった「視野の広さという自由」につながるのが「こだわりを捨てる」ですが、捨てられない人の弊害の代表格が、いわゆる「ニート」です。ニートと言えば、一般的には社会的弱者だと思われていますが、実は彼らこそ、自分の価値観が絶対だと信じている、超ガンコ者です。彼らは、自分の考え方を少しでも否定されることに耐えられない。だからそういう場面に直面しなくて済むよう、自分だけの世界に逃げ込みます。

たとえば仕事をしていて、自分が考えた段取りで進めたいのに「ウチの会社にいる限りはこうしてくれ」と言われたりすると、自分を否定された気になる。バイトで休日申請した日に「スタッフが足りないから出勤してくれないか」と言われたら、自分が人間として軽んじられたような気になる。顧客からクレームをつけられたら、自分自身が蔑まれたような気になる。自分の言い分が通らないことがガマンできない、自分の価値観と異なることをされる・言われるのがイヤ、だから他人との接点を断つという極端な行動に出てしまう。

また、他人から「いい人」「有能な人」「できる人」と思われたい意識が極端に強いのも、ニートの特徴です。自己イメージに対する思い込みが強く、他人の前で自分が認められないことに対して強い恐怖を感じます。そして「こんなことをすると、こう思われてしまうのではないか」と過剰な不安感となり、外界との関係を断つことでラクになろうとする……。そういった人たちは自分の価値観や考え方にこだわりすぎる人たちだと言えます。

以上は極端な例ですが、自分の考え方を否定されるのを怖がったり、他人の目が極端に気になるという傾向は、多くの人が持っているものです。私もそうです。でも、自分と他人とは違うし、自分の考え方が否定されても人生に直接影響するわけでもない。そうやって自分の価値観へのこだわりを捨てれば、対人関係で苦しむことも減るでしょう。

◆自分のこだわりと同じ人を引き寄せる
強いこだわりがある人は、同じこだわりをもつ人を引き寄せます。

自分の価値観がまだ固まっていない学生時代に顕著ですが、自分の考え方に自信がなかったり、誰かに認めてもらいたいがために、同じ考え方の人とつるむようになります。社会でも、職場で愚痴を言う人は、同じく愚痴っぽい人とつるむ。ママ友でも「教育熱心」「専業主婦」「共働き」などでグループが分かれます。

異性関係でも同じです。デートで食事をするならこういうところがいい、住むならこういうところがいい、という表面的なことを気にしている人は、やはり同じように表面的なことを気にする人としか出会えない。あなたが「デートはおしゃれなレストランであるべき」というこだわりがあるならば、おしゃれなレストランに連れて行ってくれる異性に魅力を感じるかもしれない。しかし、ということはその相手も「デートはおしゃれなレストランであるべきだ」と思っている。

あるいはお金持ちの社長と結婚したい、と考えていたらどうでしょうか。本当の金持ち経営者はリスクに対して敏感なので、相手のそんな打算性を感じ取り、その人から距離を置くようになります。(もちろん仮にそうであっても、その打算を上回る魅力があれば別です) その結果、お金にこだわらない本当のお金持ちとはお近づきになれず、お金にコンプレックスを持っている、金持ちじゃないのに自称金持ちの男に引っかかったりします。

逆に、こだわりが違う人と一緒になると、いろいろ問題が起きます。「性格の不一致」というのがまさにそれで、お互いに自分のこだわりを捨てられないから、相手の価値観を受け入れられない。いくら話し合っても平行線。結局は「なんでわかってくれないの」という罵り合いになる……。

私の理想は、「こだわらないことにこだわる」という姿勢です。

自分の価値観は、ともすると固定してしまいがちで、それを相手や社会にも求めるようになってしまう。それは人間関係や組織との摩擦を生み、ストレスとなる。あるいは自分とは違う考え方には反発し、新しい価値観を吸収するという学習能力が低下することにもなる。そこで、なるべく自分の考えにはこだわらないようにして、自分よりも合理的で生産的な他人の発想・価値観を受け入れられるように意識しています。

参考)「1つずつ自分を変えていく 捨てるべき40の悪い習慣」(日本実業出版社)

文=午堂 登紀雄(マネーガイド)