NHKの連続テレビ小説「半分、青い。」で映画監督の元住吉祥平を演じている斎藤工さん (C)NHK

 永野芽郁さん主演のNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「半分、青い。」の「人生・怒涛編」に登場する俳優の斎藤工さん。「齊藤工」名義で監督を務めた4Kオリジナル映画「blank13」がロングヒットを記録している斎藤さんに今回、用意された役柄は、奇(く)しくも“芸術家肌の映画監督・元住吉祥平”というもの。ドラマ本編でも使用される元住吉の作品「追憶のかたつむり」のプロットを自ら執筆し、ティザー映像を「作ってしまった」とも明かす斎藤さんの役への“こだわり”とは……。

 ◇映画監督・元住吉祥平役は「とても大きな必然」 “責務”や“悲哀”も

 斎藤さん演じる元住吉は、芸術家肌の映画監督で「クールフラット」という事務所を細々と運営している。4年前に「追憶のかたつむり」という作品で海外の映画賞を受賞するものの、その後の不況のあおりもあって、一向に新作が撮れずにきた……という設定だ。

 「朝向きの顔面ではない」と自虐的に語る斎藤さんだが、役へのこだわりは強いようで「去年でも来年でもなく、今の自分に(脚本の)北川悦吏子さんからいただいたメッセージのような役柄だと思っています。俳優は基本的に役を“いただく”ってことをなりわいとして生活をしているんですけど、どこか必然的な出会い、とても大きな必然だなって、タイミング含めて思いましたね」としみじみ。

 劇中の時代は1999年。斎藤さんにとって「業界を神々しく見上げていたころ」と当時に思いをはせつつ、役柄に対しては「僕が見てきた、映画監督という職業のアクみたいな部分が切り取られているような気がしましたし、90年代から現在に至るまでの日本の映画監督たちの思いがどこか一つ、この役に託されているような、責務のようなものを感じました」と印象を明かす。

 その思いの強さからか、元住吉を演じる上で「僕が監督業だけではなく、業界全体に対して思っていた悲哀みたいなものが、テストから本番と回を重ねる中で本当に出てしまった」といい、「そういう瞬間って自分の記憶にはとどまっていなかったりする。振り返ってみると、“映像に切り取られていた”ということが個人的には多かったので、北川さんの千里眼というか、内側に突きつけてくる責任みたいなものを、僕が勝手に感じたのかもしれないですし、迫り来るリアリティーがありましたね」と思い返していた。

 ◇白髪は自ら提案 「追憶のかたつむり」を自ら“撮影”したワケは…

 斎藤さん自身、監督として映画を撮るときは“十円ハゲ”ができたり、白髪が増えたりと役者業とはまた違った精神的なストレスを抱えることが多いようで、今回も「何かビジュアルで表現できるものがあったらいいなと提案したら、白髪が採用されました」と苦笑い。

 斎藤さんが“撮影”した「追憶のかたつむり」は、間宮祥太朗さん演じる青年・森山涼次と元住吉とを結びつけるキーとなる作品にもなっている。一人の映画人として思いを抑えられなかったようで、「台本には(英国人映画監督の)ピーター・グリーナウェイに影響を受けていると書いてあって、キャッチーなタイトルであるがゆえに、どんな物語だろうと興味が湧いてきて、映像化してみたくなった」と告白する。

 「かたつむりの速度感や、特徴的な背中の殻の渦。その円と線の意味を僕なりに追求した簡単なプロットを、生意気ながら北川さんと番組スタッフさんに送らせていただいたら、『撮ってみますか?』とおっしゃってくださった」と説明。「本来は人間パートがあって、現在の姿がかたつむりであるっていう内容。かつての人間だった時代がメインなんですけど、そのかたつむりのパートを1日だけ、NHKのスタッフさんに稼働していただいて、スタジオもお借りして撮らせていただいた。ティザー映像なんですけど、モノクロで、実はパート2もある。いつか独立させた作品として完成させて、いつかいろいろな映画祭に、という野望もある」と力を込める。

 さらに「作品を見た涼次(間宮さん)が、自分のところに来るきっかけになる、とても大事な“何か”ではあって、自分で作ることが正解だったか分からないのですが、そこに僕の作ったものが流れていたら、ドラマを多角的に見せる、厚みにもなるのではないかと自分の中のイメージもありました。僕のわがままを聞いてくださったNHKの番組スタッフさんの攻めの姿勢に感服しました」と感謝の言葉を口にしていた。

 「半分、青い。」は、大ヒットドラマ「ロングバケーション」(フジテレビ系、1996年)などで知られ、“恋愛ドラマの神様”の異名も持つ北川さんのオリジナル作品。1971年に岐阜県で生まれ、病気で左耳を失聴したヒロイン・鈴愛が、高度成長期の終わりから現代までを七転び八起きで駆け抜ける物語。NHK総合で月~土曜午前8時ほかで放送。全156回を予定。