組織の不祥事後によく設置される「第三者委員会」とは何?仕組みを解説

組織の不祥事の後でよく設置される「第三者委員会」

近年、企業や組織の不祥事等が発生すると、当該企業・団体が「第三者委員会」を設置して事実関係の調査や改善案等の提案を求める、という流れが多くなってきました。

しかし、近時ではとある団体の不祥事に関連し、当該団体から委託を受けて費用を受け取っている第三者委員会の委員が適正に判断をできるのか、「第三者」とは名ばかりではないという意見も出ています。そこで、今回はこの「第三者委員会」の目的と課題を考えてみたいと思います。

中立的な立場から問題を調査・分析する第三者委員会

第三者委員会とは、当該企業や団体の構成員ではない独立した「第三者」によって構成される委員会で、不祥事等を中立的な立場から調査・分析するために設置されるものです。

多くは弁護士や公認会計士等の専門家や学識経験者等、専門的知見を有する者によって組織され、団体の内部調査による原因究明や、今後の改善策の提示を行います。

第三者委員会が有効に機能した例

実際に第三者委員会が有効に機能した例としては、大手外食チェーンの労働問題を巡る事例が上げられます。この事例では、深夜ワンオペ等の問題や過重労働の実態が詳細に明らかにされたほか、そのような問題が生じるに至った原因を詳細に調査し、企業に対し強く改善を求める調査報告書がまとめられました。当該企業もこの報告書を真摯に受けとめて対応を講じ、その対応や結果は高く評価されています。

経営者の責任回避・隠ぺいを行った例もある

もっとも、このような成功例ばかりではありません。第三者委員会を設置するのは不祥事を起こした団体であり、委員の選任や費用の支払も当該団体が行うため、当該団体からの影響力を完全に排除できず、第三者とは名ばかりで経営者の責任を回避し、隠ぺいする等、依頼者に有利な判断を行う例も実際に存在する、といわれています。

第三者委員会が公正に機能するための課題

では、第三者委員会が公正に機能するためにはどうすればいいのでしょうか。

不祥事を起こした団体以外が第三者委員会を設置するのは難しい

まず、不祥事を起こした団体以外が第三者委員会を設置することが考えられます。しかし、このような第三者委員会に対しては当該団体が調査を拒絶する可能性もあり、また費用を誰が負担するか等の問題もあるので、実際には不可能でしょう。

委員会が中立的に業務を行えることを担保する仕組みが必要

そうすると、不祥事を起こした団体が設置した第三者委員会がどのように中立的に業務を行うことができるか、ということを考える必要があります。

これについては、日本弁護士連合会(日弁連)が「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」を制定し、公正中立な視点で調査や評価を行うことを規定しています。

そのほかにも、第三者委員会の報告書を検討し、調査が十分に行われているかなどを審査する「第三者委員会格付け委員会」という団体もあります。このような第三者委員会の活動に対する検討を通じて、問題のある活動や報告がなされないよう働きかけを行うことも有効だと思われます。

当事者から報酬を受け取っているからといって中立性がないとは言えない

なお、昨今の論調では、当事者から報酬を受け取っている以上中立性が無い、という意見もありますが、この点については誤っていると言わざるを得ません。

少なくとも、弁護士が第三者委員となる場合には、前述の日弁連が定めるガイドラインにより公正中立に職務を行うことが規定されており、費用がどこから支払われているかで中立性を損なうことは、弁護士としての職業倫理に反すると考えられるからです。

委員の人選の公正さを担保するためには過程の透明性を確保することが重要

もっとも、人選の過程で経営者に同情的な判断をする委員を選任する可能性はあり、その場合には公正さに疑問が呈されることもありえます。そこで、委員の人選については社外役員等を中心に経営陣から切り離して行うことや、弁護士会に推薦依頼を行い、弁護士会から委員を推薦する形で影響力を及ぼさないようにする取り組みがなされているところもあります。しかし、多くの場合はまだ人選の過程は不透明であると言わざるを得ません。

現在は第三者委員会の活用が定着しており、ある種のブームとなっている面もあります。しかし、少なくないケースにおいて「第三者委員会を作る」ことが調査をしたという言い訳に使われていると思わざるを得ないこともあります。

市民やマスコミも第三者委員会の調査結果を検証していく

本来、第三者委員会は「不祥事を中立公正な立場から調査分析し適切に批判する」ことで当該団体の改善を図り、無用な批判を防ぐことにあります。

第三者委員会の調査が公正中立に行われ、客観的に検討・判断した結果を報告して当該団体もその結果を真摯に受け止めて改善をすること、長い目で見れば当該団体の不利益にはならないはずです。にもかかわらず、第三者委員会が、本来は批判すべき事実があるにもかかわらず調査を怠り団体をかばうようなことがあれば、当該団体のみならず第三者委員会全体の信頼性を損なうことにもなりかねません。

第三者委員会が適正に機能するためには、委員となる専門家が「プロフェッショナル」として中立性を守ることはもちろん、第三者委員会の調査結果について、本当に中立・公正な判断となっているかを、市民やマスコミが検証し検討を重ねていくことが必要だと思います。

(半田 望:弁護士)