「収入保障保険」と「所得補償保険」。名称が似ている点と、いずれも保険金が毎月支払われるという点から、同じような保険と思っている人は多いかもしれません。でも、この2つの保険、実は全く違う保険なのです。どこがどう違うのか、知っておきましょう

◆収入保障保険と所得補償保険は目的が違う
「収入保障保険」と「所得補償保険」の最大の違いは、収入保障保険は生命保険の商品、所得補償保険は損害保険の商品だということです。

同じ「ほしょう」でも、原則、「保障」の漢字を使う商品は生命保険、「補償」の漢字を使う商品は損害保険と覚えておいてください。

収入保障保険と所得補償保険は、そもそも、取り扱っている保険業界が違うので、加入目的も違います。収入保障保険は死亡保障の保険なので、死亡したら保険金を受け取れるのが基本。対して、所得補償保険は名前の通り、所得を補償する保険なので、死亡したら保険金は受け取れません。生きている間の収入減に備える保険といえます。生命保険にも所得を補償する保険がありますが、「就業不能保険」と呼びます。

では、もう少し、収入保障保険と所得補償保険のしくみを詳しくみておきましょう。

◆収入保障保険はいまや死亡保障の定番商品!
収入保障保険では、被保険者が死亡すると、保険期間が満了するまで、死亡保険金(死亡年金ともいう)が毎月受け取れます。受け取る保険金の総額は、加入直後が最も多く、年数の経過とともに減っていくことと、保険金を分割で払うことから、保険料は定期保険に比べて割安です。このため、死亡保障の定番的な商品になり、多くの生命保険会社で扱っています。

保険期間は20年や30年など、もしくは60歳や65歳などのように、必要な期間を選べます。保険期間の満了間際の死亡には、1年・2年・5年・10年といった保証期間が設けられているのが一般的です。月額は、年齢や性別など、会社ごとに制約はありますが、所得に影響されず、必要な金額を設定できます。

◆所得補償保険は休業補償のない自営業者に向く
「所得補償保険」は、積極的に取り扱っている保険会社は少ないのが現状です。

しくみは、病気またはケガで入院、通院、自宅療養をしていて、働いて収入(所得)を得られない状態(医師の診断が必要)になると、毎月、保険金が受け取れるというもの。補償は入院中のみにすることもできますし、そもそも入院中しか補償しない商品もあります。

免責期間が設けられていて、商品によって7日、60日、180日など。保険金が受け取れるのは2年間が一般的ですが、60歳・65歳までの商品もあります。保険期間は1年、5年で継続していく商品と65歳までの商品があります。設定できる保険金の月額は、所得の6割から7割までです。

では、収入保障保険と所得補償保険(就業不能保険)は、それぞれ、どんな人向きなのでしょうか。

収入保障保険は、死亡保障の保険なので、死亡保障を必要とする人すべてに向きます。例えば、一家の生計を担っている夫や働いている妻、幼児のいる妻などです。

所得補償保険は、公的健康保険の傷病手当金や会社の休業補償のない人向きといえます。具体的には、自営・自由業の夫です。ただ、必須の保険とはいえませんし、保険料は特に割安というわけでもありませんので、家計に余裕がある家庭や、死亡保障の保険と医療保険だけでは不安という家庭が利用するといいでしょう。

文=小川 千尋