もしいま、そこそこ使えるお金があったら何を買いますか? 「あれがほしい」「これを買おう」……。普段から多くのデジタル製品に触れ、ブツ欲があふれてそうなライター諸氏はどんな製品に興味をそそられるのでしょうか。想定金額は「サイコロの目×10万円」、予算内で夢と妄想を広げてもらいます。今回は国内外を飛び回り、スマートフォンを中心にIT分野で活躍する太田百合子さんです!


【動画】音声が流れます、ご注意ください。
  • い、いち~~~~~!!!

「『もしも』使えるお金があったら」というとても夢のある企画なのに、軍資金(バーチャル)を決めるサイコロで「1」しか出なかった残念な自分を呪いつつ、予算10万円で何が欲しいか、ちょっと真剣に考えてみました。

もし今、自由に使っていいよという10万円が目の前にあったら、買うのはコレ!

  • レノボ「Lenovo Mirage Solo with Daydream」税込55,300円前後
  • レノボ「Lenovo Mirage Camera with Daydream」税込38,700円前後
  • ソニー「オープンイヤーステレオヘッドセット STH40D」税込7,430円前後

スタンドアロン、しかも動き回れるVRデバイス!!

  • 「Lenovo Mirage Solo with Daydream」(左)と「Lenovo Mirage Camera with Daydream」(右)。Mirage SoloにはシンプルなBluetoothコントローラーと有線のイヤホンも付属します

Lenovo Mirage Solo with Daydream(以下Mirage Solo)は、いわゆるスタンドアロン型のVRゴーグル。「Oculus Rift」や「HTC Vive」のようにPCとケーブルでつないだり、「Galaxy Gear VR」や「Daydream」のようにスマホをセットしなくても、文字通りこれ単体でVRコンテンツが楽しめるデバイスです。

同じスタンドアロン型のVRゴーグルでは、ほかに「Oculus Go」も発売中。こちらは2万3800円~と価格が手頃なこともあり、筆者の周りでは最近Oculus Goを買う人がじわじわ増えています。実は筆者自身も、つい最近Oculus Goを買ったばかりでした。

それなのにどうしてまた、同じVRデバイスであるMirage Soloが欲しいのか? というと、Mirage Soloには、VR空間内を動き回れるという、Oculus Goにも、それから筆者がほかに所有しているGalaxy Gear VRやDaydreamにもない機能が備わっているからです。

  • よくあるゴムバンド式ではなく、背面のダイヤルでストラップの長さを調節し、頭に固定する方式。他のVRゴーグルと比べると重さ645gはずっしりきますが、おでこのクッションで支えるため、装着感は悪くないです

  • 左側面に電源ボタンと音量キー&ヘッドホン端子、右側面にmicroSDカードスロットとUSB Type-C、下側にピント調節ボタンがあります

”VR空間を動き回れる”とはどういうことでしょうか。ざっくりいうとそれは、ユーザーの6軸方向(前後、左右、上下の各軸とそれぞれの軸周りの回転)への動きをセンサーがとらえて、それにあわせてVRコンテンツの映像が変化する(視線が変わる)ということ。

ちなみに、この6軸方向へ動けることを専門用語では「6DoF」といいます。Mirage Soloで6DoF対応コンテンツを楽しむ際、しゃがめばVR空間内での視線も低くなるし、前に進めばVR空間内の視線も前に進む。自分の動きと見ているVR映像がリンクするわけです。

いままで、これを実現するためには、ユーザーの動きをトラッキングするためのセンサーを設置する必要がありました。たとえば、同じくVR空間を動き回れるHTC Viveでは、2つのトラッキングセンサーを三脚などで固定して、ユーザーが動き回れる(動きをトラッキングできる)範囲を設定します。

Mirage Soloがすごいのは、このような外部センサーを一切使用せずに、正面についた2つのカメラだけを使って、ユーザーの動きをトラッキングできる点。確かにOculus Goに比べると価格は高いかもしれませんが、Mirage Soloはケーブルに煩わされずに単体でVRコンテンツが楽しめるだけでなく、単体でVR空間内を動き回れる画期的なデバイスなのです。

没入感の高さはピカイチ! VR酔いもしにくい?

VR空間を動き回れると、コンテンツへの没入感はより強くなります。それだけでなく、これはあくまで個人の感想ですが、いわゆるVR酔いにもなりにくいように思います。複数のVRゴーグルを所有していることからもわかるように、筆者は相当なVR好きなのですが、実はその一方でVR酔いもしやすく、長時間楽しむことができません。

その筆者の経験でいうと、どうやら自分が動いていないのにどんどん景色が移り変わったり、自分の動きと映像の間にずれや誤差が生じると酔いやすくなるようです。逆に自分の動きと映像がきちんとマッチしていれば酔いにくいはず。発表会の場でいくつかのコンテンツを試した限りですが、Mirage Soloにはこの点も大いに期待しています。

さてVRデバイスで最も気になるのがコンテンツでしょう。Mirage SoloはGoogleのDaydreamプラットフォームに対応。YouTubeアプリが利用できるので、YouTubeに公開されている360度映像や180度映像がまるっと楽しめます。ちなみにYouTubeの360度映像は簡易的なVRゴーグルでも楽しめますが、Mirage Soloで見るそれはかなり立体的で、没入感が全然違います。

また2017年のGoogleの発表によれば、このYouTubeアプリには近々、VR動画を友人と一緒に視聴できる機能も追加予定とのこと。今Oculus Goでは、遠く離れた場所にいてもまるで同じ部屋にいるかのように、アバター同士でコンテンツを共有できるコミュニケーションアプリが人気なので、YouTubeがそうなればきっともっと盛り上がるはずです。

ほかにもNetflixやAbemaTV、dTV VRなどの有料動画配信サービスが利用可能。このようにMirage Soloで楽しめるコンテンツは決して少なくないと思うのですが、一方で、映像視聴ではない、VR空間内を動き回れる6DoF対応コンテンツとなると、その数はまだまだのようです。発表時点で、6DoF対応コンテンツは50本ほどという話だったのですが、これからどのくらい増えるのか、ぜひ今後に期待したいと思います。