とはいえ、Apple Watchには38mmまたは42mmという小さな画面サイズのディスプレイしか選択の余地がなく、大画面化が進むiPhoneでのアプリ体験とは異なる。そのため、「別の方法」を用意する必要がある。

AppleがiOS 12で用意した変更は、Siriと通知だ。これらはApple Watch向けのwatchOS 5でもほぼ踏襲されると考えて良いだろう。

Siriには、Siri Shortcutsという機能が追加された。この機能を一言で説明するのは難しいので稿を改めるが、Siriが我々の普段のiPhone活用からパターンを見出して、機能を直接呼び出せるショートカットを用意したり、それに声のラベルを付けて一言でいつでも呼び出せるようにしたり、あるいは自分で複数のアプリを束ねるショートカットを作成したりといったことができるようになる。

  • iPhoneと連携し、Siri Watch FaceにもSiri Shortcutsが表示され、ワンタップで機能を呼び出せる

また、iPhoneで作ったショートカットは、Apple Watchからでも起動できる。例えば、仕事場を出て家に帰る際に、家までのナビゲーションを起動し、家族に帰着までの時間を告げ、ポッドキャストやラジオアプリでの再生を開始する、といった動作を手首から済ませられる。AirPodsを装着していれば、iPhoneに全く触らず、ナビとラジオを聞きながら帰ることができる。もしiPhoneを見ながら、一連の動作を行おうとすれば、これらだけで少なくとも2分のスクリーンタイムが追加されているだろう。

これらのショートカットは、Apple WatchのSiri Watch Faceにもカードとして表示されるようになる。現在のSiri Watch Faceでは、これから先の時間の予定やリマインダーとともに、雨の降り始めの時間などを知らせてくれるが、watchOS 5では心拍数のお知らせなどに加え、Siri Shortcutsの提案や、時間・場所・状況に応じたショートカット表示をしてくれるようになる。

例えばオフィスから歩き始めるときに、「近くのカフェでのラテのオーダー」 という習慣があるようならば、Apple WatchのSiri Watch Faceから直接、それらが実行できるようになるのだ。よって、声を出さずにショートカットをワンタップで選ぶのも可能となる。身の回りの習慣的な動作へのショートカットが増え、これをApple Watchからこなせるようになれば、デジタルウェルネスの武器になるはずだ。