セールスフォース・ドットコムは6月20日、都内で記者会見を開き、AI(人工知能)「Sales Cloud Einstein」の新機能として「Einstein売上予測」を発表し、提供を開始した。

  • 「Einstein売上予測」のダッシュボードイメージ

    「Einstein売上予測」のダッシュボードイメージ

冒頭、米国本社 エグゼクティブバイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャー Sales Cloud担当のアダム・プリッツァー氏は「営業担当者は、上司に予算の達成状況報告や顧客のフォローアップ、CRMのデータ更新、Eメールの返信など多くの作業が必要となっているため、時間を効率的に使える環境を企業は整備しなければならない。しかしながら環境はますます厳しくなっており、多くの業務を抱えているため優先順位が判断できない場合がある」と指摘。

  • 米国本社 エグゼクティブバイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャー Sales Cloud担当のアダム・プリッツァー氏

    米国本社 エグゼクティブバイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャー Sales Cloud担当のアダム・プリッツァー氏

また、営業担当者は見込み客に関する情報、業種や規模、予算などの「構造化データ」は容易に管理できるものの、電話メモやビジネスニュース、Eメールといった価値のあるインサイトを持つ「非構造化データ」を把握できていないという。

Sales Cloud Einsteinは、クラウド型営業支援システムの「Sales Cloud」に組み込まれた同社のAI「Einstein」により、CRM上にあるデータを利用し、営業プロセスを効率化・自動化を可能としており、これまでデータ入力の自動化やリードスコアリング、商談スコアリングを提供してきた。

データ入力の自動化はCRMの情報やカレンダー、Eメールの内容などをベースに自動的に入力することを可能とし、リードスコアリングは会社名や部署名、役職などのデータを分析し、商談に結びつきやすいリードを数値化して把握することができる。また、商談スコアリングはリードスコアリング同様に商談が有望か否かを数値化し、限られた営業リソースを効率的に投下することを支援。

  • リードスコアリングの概要
  • リードスコアリングの概要
  • リードスコアリングの概要

  • 商談スコアリングの概要
  • 商談スコアリングの概要
  • 商談スコアリングの概要

そして今回、売上予測の提供を開始した。同機能はSalesforceに格納された、人に関する情報、商談情報、チームの情報など多様な情報を加味し、予測することを可能とし、営業マネージャーは自分のチームメンバーのすべての商談、営業活動を把握できるという。

  • 「Einstein売上予測」の概要

    「Einstein売上予測」の概要

さらに、過去の商談成約状況や行動を解析し、目標数値に対して、どの程度で達成できそうか、失注金額を把握できるようになっており、スコアリングで示唆する。これにより、例えば保険会社の地域マネージャーは、自分のチームが当期の売上目標を達成できそうか、失いかけている案件がないかなど、ダッシュボードを見るだけで把握することを可能としている。

加えて、モバイルでも利用可能なため外出先からアクセスし、その場で次の行動に移すことができるほか、ある会社が新規市場への事業拡大に際し、市場開拓費用を捻出できるかどうか確信が持てない場合、CFOは売上予測により会社として新たな地域に費やす十分な資金が得られるかどうかを予測することもできるという。

予測のベースとなる情報を明確に提示し、例えば当該期間において成約した案件や、パイプラインでどれくらいの成約の可能性があるのかなど、顕在化していない案件、案件の規模が縮小する恐れがあるものも予測に含まれている。

プリッツァー氏は「社内で1年前から運用していたが、利用することでビジネスのやり方を変えることを実現し、精度が高いほか、どの案件を直接支援すべきか判断を可能とし、地域ごとの状況も把握できた」と説明していた。