空間の共有は確かにプレゼンテーションや体験では分かりやすい機能向上と言える。ゲームによっては、1人で遊ぶより複数の方が楽しめることは、これまでの任天堂の各種タイトルで遊んできた経験上、大いに納得できる。しかしARKit 2で向上した空間の扱いの柔軟性はそれだけではない。ARKit 2では、空間の保存と読み出しをサポートしたのだ。

繰り返しになるが、通常のARKitではこれまで、毎回平面を認識し直す必要があった。マッピングと呼ばれる作業は、自分が立っている方向に応じて変化しオブジェクトの向きが毎回変わったりして、バッテリー消費が大きくなる要因ともなっていた。

ARKit 2では、一度認識した空間を保存し、再び読み出し直せるようになる。例えば複雑な立体パズルをリビングに拡げて遊んでいて、途中で寝る時間になってしまっても、その状態を一度保存し、再び翌日続きからプレイできるようになる。ゼロから作り直す必要がなくなるのだ。

この仕組みを活用すると、特別な実装がなくても、冷蔵庫にARのメモを貼り付けて家族と共有したり、美術館にAR展示を行い、そこを訪れる様々な人が開いて鑑賞したり、地下鉄の駅のAR案内板を常に正しい方向で表示する、といったことができるようになる。

もっとも、狭所での位置情報と方向の取得が必要となるため、簡単に行うには平面もしくは立体のマーカーを置かなければならなくなるだろう。